山岸凉子「鬼来迎」(1991年8月20日初版発行)

 収録作品

・「鬼来迎」(1981年「デュオ」11月号掲載)
「野村敏子は、田舎の高校卒の、神経過敏な娘。
 彼女は都会でのOL生活に耐えられず、また、母親の再婚相手とも顔を合わせたくないため、母親の知人が紹介してくれた家に住み込みの家政婦として働くこととなる。
 その家があるのは、北のはずれの寂れた漁村で、深草という未亡人が、時枝という中年の家政婦と暮らしていた。
 深草は三年前に夫を亡くしていたが、思ったよりも若くて美しく、華道や茶道を教えて、生計を立てていた。
 最初の夜、敏子の寝床に何者かが侵入してくる。
 それは、右手首のない、痩せこけた少年であった。
 少年の名は修一。彼は深草の息子で、離れの小屋に住んでいた。
 気味悪く思いつつも、他に行く当てもなく、彼女はこの家に慣れるよう努める。
 だが、深草家で生活していくにつれ、奇妙な事実を次々と知ることとなる。
 修一が怯える「鬼」の正体とは…?」

・「キルケ―(魔女)」(1979年「プチコミック」2月号掲載)
「山にハイキングに来て、最終バスを逃してしまった、五人の少年少女(広、隆、進、奈津子、道子(隆の妹)/小学四年生の道子以外は中学三年生)。
 仕方なく、彼らは道路を下るが、同じ所をぐるぐると回っていることに気付く。
 日は暮れ、野宿しようと相談していると、森の中に明かりが見える。
 そこは大きな洋館で、着物姿の女性が住んでいた。(着物の柄は、蜘蛛の巣。)
 彼女の夫は動物学者らしく、館には犬や猫、馬等、様々な動物が飼われていた。
 彼らは一晩、館に泊まることになるが、翌朝、奈津美は自分以外の連れが姿を消していることに気付く。
 彼女の前には、子猫や犬、オウム、蛙が現れるのだが…」

・「悪夢」(1980年「月刊マンガ少年」5月号掲載)
「メイは21歳の娘さん。
 母親と家で暮らして、ラドというボーイフレンドも、女友達もいる。
 彼女は何故か、奇妙な夢に悩まされる。
 夢の中で、彼女は十歳ぐらいの少女で、法廷に立たされていた。
 更に、夢を見る度に、彼女は成長していき、様々な施設を転々とする。
 夢が日常を侵食していった果てに、明らかになる真実とは…?」

・「ウンディーネ」
「陸田は動物雑誌の出版社の非常勤のカメラマン。
 彼は動物にしか興味のない、寡黙な青年であった。
 彼は、北海道のある沼で、一日中テントにこもってマガモの写真を撮ることになる。
 沼のそぼには廃屋らしき小屋があり、彼はそこを寝室と暗室に使う。
 ある霧の深い夜、居眠りから覚めた彼が、沼を覗くと、そこにウンディーネを見る。
 だが、それは溺れかけている少女であった。
 彼は少女を助け、小屋のストーブで服を乾かす。
 彼女はこの付近の家の娘で、霧で道に迷い、沼にはまったと話す。
 以来、彼女は度々、彼の小屋を訪ねてくる。
 彼は次第に彼女に惹かれて行くのだが…」

2023年1月14日 ページ作成・執筆
2023年8月1日 加筆訂正

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