楳図かずお「こわい本 影」(1996年7月20日第1刷発行)
収録作品
・「おそれ」(1969年「ティーンルック」掲載)
「三つ違いの姉妹、一ノ瀬桃子と藍子。
姉の桃子は小さい頃からその美しさで周囲の人々を魅了していた。
その半面、妹の藍子は、比較され、無視されることを繰り返し体験し、不快感や悲しみを募らせる。
桃子はそんな藍子に気を遣うが、藍子にとってはそれが何よりもつらい。
やがて、二人は成長するが、自分の美しさに目覚めた桃子は更に美しくなる。
藍子が高校三年生の頃、桃子に高也という恋人ができ、二人の仲はどんどん深まる。
だが、ある日、桃子は階段から転落し、顔面に重傷を負う。
手術が行われるものの、桃子の顔にはひどい傷痕が残る。
以来、桃子は部屋に閉じこもるようになり、藍子に対して凶暴かつ残忍になる。
しかし、高也への想いに悶え苦しむ姉を藍子はどうしても憎む気にはなれない。
そのうちに、美しさを取り戻したいあまり、桃子は徐々に常軌を逸していく…」
・「偶然を呼ぶ手紙」(1968年「ティーンルック」掲載)
「踏んだり蹴ったりの一日。
頭に来た洋子は、鬱憤を晴らすべく、学校の女教師に対する罵詈雑言に満ちた手紙を書く。
そして、封筒にでたらめな住所、でたらめな女性の名前を書いて投函する。
ところが、でたらめのはずが、同じ住所・名前の女性が実在しており、その人物に手紙が届いてしまう。
受取人は、醜い容貌と不具がありながらも、結婚を控えていた女性で、手紙にひどく傷つき、自殺をするために行方不明になる。
事態は手紙に書かれた内容に沿うように悪化。
洋子は自分の手紙が引き起こした事件を知り、良心の呵責に苦しみ続ける。
罪の意識に苛まされ、高熱を出して寝込んだ洋子にある考えがひらめくのだが…」
2021年1月21日 ページ作成・執筆