楳図かずお「こわい本 影」(1996年6月20日第1刷発行)
収録作品
・「影」(1968年「ティーンルック」掲載)
「元テレビ・タレントを母に持つ花野絵美。
彼女の住む邸は「鏡やしき」と呼ばれており、玄関を入った所に古い大きな鏡があった。
彼女は幼い頃から、鏡に魅せられ、成長して、美しくなるにつれ、ますます鏡の中の自分に見とれることが多くなる。
高校三年のある日、彼女は、小学五年生からの恋人、岡田貢と破局を迎える。
以来、彼女は家で、非常に不気味で「つきさすような感じ」に悩まされるようになる。
ある夜、彼女がその不安の原因を探ると、あの鏡に辿り着く。
訝る彼女の前で、鏡の中の彼女が自由に動き、話し始める。
鏡の中の絵美は、自分こそが本体で、現実の絵美は影だと言って、鏡を越えて、絵美に襲いかかる。
気絶した絵美が目を覚ました時には、鏡の絵美は、現実の絵美と入れ替わっていた。
絵美は母親からも偽物扱いされ、家を追い出される。
更に、鏡の絵美は、岡田貢に自動車事故を起こさせ、入院した彼に接近する。
絵美は、自分の美しさを疑い、そして、自分の正気をも疑うようになるのだが…」
・「復讐鬼人」(1967年「少年マガジン」掲載)
「戦国時代。
宇田城城主、宇田文武は、落城の危機に際し、世継ぎの若君である光忠を、剣の達人、近藤無双に託す。
無双と息子の正吾は、山奥の小屋で、光忠に仕えるが、わがままな光忠は日ごと凶暴性を増し、正吾をいたぶる。
ある日、光忠が正吾に泥だんごを食べさせようとするのを目にして、無双の怒りが炸裂。
思わず殴りとばしてしまい、光忠にケガをさせてしまう。
永禄五年(1562年)、宇田城は援軍を得て、文武の手に戻る。
文武は、、光忠を傷つけたことへの報復として、登城した無双に、毒入りの食べ物を与え、口をきかせなくする。
更に、無双の両腕を切り落とし、罪人小屋へと放り込む。
重労働にあえぎながらも、無双は、正吾のためを思い、自害せず生き続ける。
一方、正吾は、光忠の家来して仕えさせられていた。
彼は、殿の命により、光忠の身に何かあれば、それと同じ仕打ちを身に受ける。
その夏、再び戦が起こり、光忠は初陣として出馬するが…」
2020年4月24日・5月3日 ページ作成・執筆