愛田真夕美「魔夜の赤い靴」(1996年1月20日第1刷発行)
国民的人気子役、南坂まや(12歳)。
彼女が眠る時、まやのもう一つの意識「魔夜」が目覚める。
好奇心旺盛な魔夜は今宵も誰かの精神に入り込み、その心を覗き込む。
そこで彼女が目にするものとは…?
・「魔夜の赤い靴」(1994年「ハロウィン」9月号)
「映画撮影。
まやの相手役は、中西というモデル出身の男性俳優。
中西は実力不足なわりにプライドが高く、常にまやと比較され、ストレスをためる。
まやは彼が努力しているとかばうが、彼が彼女に暴言を吐いたことから、役を降ろされ、姿を消す。
映画のクランクアップ(撮影終了)時、まやに赤い靴が贈られる。
早速履いてみると、靴には釣り針が仕掛けられ、まやは全治一か月のけがを負う。
手術の後、「魔夜」が訪れた相手とは…?」
・「魔夜の赤い靴・2 禁じられた遊び」(1995年「ハロウィン」3月号)
「まやは、アイドル歌手、瑞樹リカの映画に友情出演することとなる。
彼女はジーエムTV社長、瑞樹宗一の愛娘で、親の猛烈なバックアップを受けていた。
だが、その本性は極悪非道なワガママ娘であった。
彼女は、先輩の森村しのぶをアイドルの座から引きずり下ろしただけでなく、自分の付き人にして、苛め抜く。
遂には、昔の恋人まで奪われ、しのぶは絶望し、自殺を図る。
その夜、瑞樹リカのマンションに訪問客があるのだが…」
・「魔夜の赤い靴・3 最後の晩餐」(1995年「ハロウィン」7月号)
「二時間ドラマの仕事。
ベテラン女優、麻生玲於奈の相手役を射止めたのは、南坂まやであった。
オーディションでまやに敗れた宮沢愛美の母親は麻生玲於奈に掛け合い、愛美をプロデューサーに推薦するよう頼むが、けんもほろろに断られる。
そんな時、愛美の母親は、玲於奈がドラマの撮影中に一週間の休暇を取ることを不審に思う。
彼女は玲於奈の私生活を探偵を使って調べさせるのだが…。
玲於奈の秘密とは…?
そして、「魔夜」がラベンダの香りのする部屋で見たものとは…?」
・「魔夜の赤い靴・4 閉ざされた声」(1995年「ハロウィン」9月号)
「まやはアニメ映画の吹き替えの仕事に興味を持つ。
と言うのも、人気声優、森川洸に好意を寄せていたからであった。
また、河村まりあ・ゆりあという一卵性双生児の姉妹も彼に想いを寄せていた。
この姉妹は声優の卵で、まりあは勝気な性格、一方のゆりあは対照的に大人しい性格であった。
そして、二人はアニメ映画の役のオーディションで争うこととなる。
オーディションの前、まりあはゆりあに負けた方が森川洸から手を引くという条件をつける。
しかし、オーディションで敗れたのは、まりあの方であった。
傷心のまりあは、今まで溜まってきた、ゆりあへのコンプレックスを爆発させる。
その場に、魔夜が現れて…」
「眠っている間、もう一人の自分が現れ、人の心を覗き込む」という発想は面白いと思います。
ただ、その設定をうまく活かしきれなかったような気がします。
と言うのも、性格の悪い人も、精神を病んでいる人も、犯罪者も皆、「(人には)それぞれ理由があるから」(注1)。
人の心を覗くからには、そういう「理由」にまで踏み込んでほしかったものです。
あと、第三話「最後の晩餐」がよく理解できませんでした…。
ちなみに、四話以外にエピソードがあるのかどうか不明です。
まやの両親や彼女の出生について明らかになっているのでしょうか?
・注1
フランスの映画監督、ジャン・ルノワールの言葉らしいが、詳しいことはわからず。
2022年5月18日 ページ作成・執筆