御茶漬海苔「惨劇館@」(1987年8月31日初版発行)

 収録作品

・「惨劇館」(「月刊ハロウィーン」1986年7月号〜1987年1月号)
「第一回 テレフォン」
 旦那とマンション暮らしの早苗のもとに、電話がかかってくる。
 それは、早苗に何年も前からしつこく付きまとっている木田からだった。
 木田は早苗と話したいと訴え続ける。
 早苗が電話をかけないよう言っても、電話はかかってくる。
 何度も、何度も…。
「第二回 人蜘蛛」
 ブラコンの少女、静香。
 彼女は、兄の恋人、美晴が憎くてたまらない。
 その地方には、夏の暑い夜、人に卵を植え付けるという人蜘蛛の言い伝えがあった。
 静香は美晴を家に招き、人蜘蛛避けのお札を剥がした自分の部屋に泊める。
 その夜…。
「第三回 めぐみちゃん」
 海水浴を楽しむカップル、彰彦と優子。
 ボール遊びをしていた時、優子は、めぐみという十歳ぐらいの娘を知らないかと、美しい女性に尋ねられる。
 とりあえず、知らないと答え、その場を離れると、女性の姿は消えていた。
 その晩、優子が入浴しようとすると、浴槽に見知らぬ女の子がいる…」
「第四回 エレベーター」
 あるマンションに引っ越してきた、両親と娘の三人家族。
 引っ越した日の晩、彼らは管理人の老婆に食事に招かれる。
 隠し味に何を使っているのかはわからないが、食事は非常に美味しい。
 その隠し味の秘密とは…?
「第五回 あなたと一緒に」
 男に捨てられ、自殺した長崎美雪。
 彼女の霊は男の部屋を訪れ、大好きな彼と二人きりで幸せいっぱい。
 だが、そこに、男の彼女がやって来る。
 嫉妬に狂った美雪は…」
「第六回 ケビンの惨劇」
 雪山で遭難した、三人の娘、由美、薫、晴子。
 三人は山中に館を発見するが、そこには120年前にケビン伯爵が封印されていた。
 封印を解かれたケビン伯爵は薫に乗り移り、復活。
 手始めに、晴子を血祭りにあげる。
 館を偶然訪れた、心霊研究所の高橋と共に、由美は車で逃げようとするが…。
 そして、目覚めたケビン伯爵の殺戮の旅が再び始まる…。

・「バスルーム」
「バスルーム@」(「ハロウィン」1986年6月号)
「祟りの言い伝えのある池。
 絵美の姉は、迷信だと笑って、池で泳ぐ。
 だが、その夜、姉妹が風呂に入っている時に、姉の身体にブツブツができ、それは瞬く間に全身に広がる。
 更に、掻き毟った皮膚の破片が絵美に付くと、ブツブツは妹にも感染してしまい…」
「バスルームA」(「御茶漬海苔がやって来た!」1987年4月20日発行)
 姉妹の異変を知った祖母は、妹を柱に縛り付け、手足を縛った姉に塩水でかけ、魔物を身体から追い出そうとする。
 すると、姉の身体から、一つ目のモンスターが現れる…。
「バスルームB」(描き下ろし)
 モンスターが妹の絵美の顔を一舐めすると、絵美の身体に急速にブツブツが広がる。
 痒さに耐え切れず、彼女が身体中を掻き毟ると…。

 御茶漬海苔先生の代表作&1980年に描かれた怪奇マンガの傑作中の傑作が「惨劇館」であります。
 疾走感溢れる展開とシャープ過ぎるスプラッター描写はいまだ他の追随を許しておりません。
 ただ、「スプラッタ“最右翼”」(注1)として「月刊ハロウィン」の全盛期を支えた名作ではあるものの、1989年の宮崎勤事件の煽りをもろに喰らい、遂には描く場を失ってしまったという、不遇な面のある作品でもあります。
 この作品を全巻通して読むのは簡単にはいきませんが(と言うか、全巻、持ってない…)、折を見てちまちま、紹介をして、私にそのノ〜ミソがあれば、作品の考察もしていきたいと思っております。

・注1
 新保信長・編「消えたマンガ雑誌」(MFペーパーバックス/2000年2月14日発行)収録の御茶漬海苔先生へのインタビュー記事から引用(p104)。

2018年7月6・7日 ページ作成・執筆

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