御茶漬海苔「惨劇館I」(1994年1月20日第1刷発行)
・「オープニング 恐怖ふたたび」
「豪雨の夜。
姉妹の乗った車が事故を起こし、横転する。
姉は瀕死の重傷を負い、妹は姉を近くの洋館へと運び込む。
しかし、中には誰もおらず、姉は力尽きる。
その時、奥の扉から、姉を助けたかったら、こっちに来いという声が聞こえる。
妹が近づこうとした時、扉が開き、姉の霊が現れる。
姉は、ここには死者の魂がたくさんいるので、妹に逃げるよう言うのだが…」
・「第四十一回 死者の穴」
「夏子と春江の姉妹。
妹の春江はことあるごとに夏子に嫌がらせをして、それを両親にはうまく隠していた。
夏子はいつも母親に怒られ、陰気な性格になる。
夏、一家で、父親の田舎に旅行に出かける。
姉妹は川に出かけるが、夏子は春江を川に突き落として、溺死させる。
また、その知らせを聞いて、祖母は心臓麻痺を起こし他界する。
その地方には、「死者の穴」という言い伝えがあった。
「死者の穴」は、この世とあの世をつなぐ穴で、恐怖心を持つ者にだけ視えると言う。
妹の霊によって「死者の穴」に引きずり込まれた夏子は、あの世で裁判を受けることになる…」
・「第四十二回 恐怖の眼」
「中学二年生の明代は、塾帰り、同じ塾生の光子が殺されるところに遭遇する。
犯人は若い男で、光子の腹を裂き、内臓を取り出していた。
彼は明代に、このことを他人に言ったら、殺すと脅して、解放する。
明代は自分の胸にしまっておこうとするが、男は同じ団地の住人で、いつ自分が殺されるか恐ろしくて仕方がない。
また、殺された光子の霊が、犯人を警察に教えるよう、明代を責めたてる…」
・「第四十三回 公衆トイレ」
「夜、コンサート帰りの娘、黒子と陽子。
黒子は、アイスの食べ過ぎで、公園のトイレへ駆け込む。
そのトイレは壁中、いじめたクラスメートへの呪詛が書き込まれていた。
とは言え、背に腹は代えられず、陽子に待っているようお願いして、黒子はトイレに入る。
陽子は黒子が出てくるのを待つが、いつまで経っても出てこない。
トイレのドアをノックすると、下の隙間から血が溢れ出て…」
・「第四十四回 処刑少女」
「太陽学園の屋上から、田辺典子は跳び下り自殺をする。
彼女の親友、百合子は遺書を読んで、自殺の原因を知る。
典子は、三年のリョウという男子生徒を好きになり、付き合っていた。
だが、彼は腹の底まで腐った男で、彼は典子を廃病院に呼び出し、愛人のローズとジュンと共に、典子をリンチを加えたのである。
百合子は、廃病院で三人に抗議するも、返り討ちにあい、拘束された上に、ゴキブリ責めにされる。
運よく脱出した百合子は、三人に復讐を企てるが…」
・「第四十五回 ココア」
「雪の降る夜、恋人の真樹が実家に帰り、香奈絵は一人で過ごす。
温かいものが飲みたくて、冷蔵庫奥にあったココアを温めて飲むと、彼女の身体に異変が…」
「惨劇館I」は最終巻で、全編描き下ろしです。
「消えたマンガ雑誌」(メディアファクトリー)の御茶漬海苔先生へのインタビューによりますと、雑誌には過激で載せられないが、「ソノラマの中にも「御茶漬海苔に最後まで描かせろ」って意見もあったらしくて、それで単行本にはなった」(p107)とのことです。
1989年以降の雑誌掲載作品より遥かにスプラッターで、実に忌まわしい「公衆トイレ」は単行本のベストだと思います。
2021年7月21日 ページ作成・執筆