曽祢まさこ「しのび寄る殺意」(1990年2月20日初版発行)

 収録作品

・「しのび寄る殺意」(「殺人事件 Part2」(1988年)掲載)
「のり子は編み物の好きな平凡な少女。  彼女の恋人は容姿端麗かつ頭脳明晰な水沼貴征(みぬま・たかゆき)であった。
 彼はマザコンで有名だったが、彼の母親はとても素敵な夫人で、のり子は一目で魅せられる。
 また、母親の方も彼女を気に入り、良好な関係を築いていた。
 しかし、デパートで眼鏡をかけた女性がスプーンを万引きする現場を目撃した時から、のり子の周りで奇妙なことが起き始める…」

・「いつかだれかに殺される」(「殺人事件」(1989年)掲載)
「自分の知っていることは、何でもかんでもしゃべり散らかしてしまう、トラブルメーカーの岡崎啓子。
 両親が留守で、自由を満喫する啓子のもとに、電話がかかってくる。
 受話器を取ると、「おまえのおしゃべりにはがまんできない 殺してやる」と男か女かわからない声が啓子に告げる…」

・「秘密の小箱」(「ミステリーハロウィン@」(1989年)掲載)
「小学校二年生の時、殺人現場を目撃した、わかな。
 殺人犯に襲い掛かられるが、手もとにあった石で頭を殴りつけ、難を逃れる。
 家に帰ってから、人を殺したことを知ったわかなだが、怯える彼女を、一つ年上の顕彦(あきひこ)は慰める。
 わかなは疑われることなく、いつしか事件のことを忘れたように見えた。
 九年後、わかなは高校生となり、顕彦と付き合うようになっていた。
 しかし、二人の間にはあの事件がいまだ影を落としていた…」
 講談社の「なかよし」で発表された(?)名作「風の墓標」を連想される短編です。
 焼き直しという安直な要素は一切なく、現代の日本に舞台を変えて、全く別の作品に仕立てております。
 そして、あの結末…佳作と呼ぶに相応しいでしょう。

・「追いつめられて」(「ミステリーハロウィンA」(1989年)掲載)
「素行の悪さが祟って、幾多の女生徒から恨みを買っている加賀竜二。
 嫌がらせをしばしば受けているが、徐々に悪質さを増してくる。
 そして、その主犯格らしいのは、ジャンボというあだ名の大場靖子。
 大柄な身体を活かし、バレーボール部のエース格。明るくて、面倒見のいい人気者。
 靖子が機会あるごとに竜二を陥れようとしていると、竜二は周囲の人間に言うが、誰も信じてくれない。
 孤立したまま、竜二は追いつめられていく…」

・「密の部屋」(「ハロウィン三月号」(1988年)掲載)
「キャリアウーマンの叔母が旅行に出かける間、マンションの部屋の留守番をすることになった江梨。
 憧れの部屋で、憧れの一人暮らしをすることとなり、おおはしゃぎ。
 が、そのうちに、妙なことに気付くようになる…」

2015年9月9・10日 ページ作成・執筆
2023年7月20日 加筆訂正

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