御茶漬海苔「御茶漬海苔の妖怪図鑑A」(1992年5月20日初版発行)
・「第11話 鏡の中のピグル」(「月刊ハロウィン」1991年8月号)
「菊江は受験勉強中、うたた寝をする。
夜の三時頃、物音で目を覚ますと、ケーキの箱の中に何かがいる。
それは「ウサギとネズミとネコが混ざった」ような動物であった。
逃げようとするそれを捕まえるも、噛みつかれ、その拍子に、菊江は鏡を割ってしまう。
その動物がテレパシーで伝えるところによると、それの名はピグル、鏡の世界から来たという。
菊江の部屋の鏡でないと、戻れないため、ピグルは彼女の家にいることになる。
彼女は父親にピグルを紹介するのだが…」
・「第12話 妖怪ゴボゴボ」(「月刊ハロウィン」1991年9月号)
「花丘中学校二年生の白鳥美樹子は美人を鼻にかけた、タカビ〜女。
ある夜、お肌の手入れをしていると、部屋をノックする音がする。
開けると、奇怪な肉玉が転がり込んできて、彼女の前で止まると、頭を伸ばし、彼女に「アイ・ラブ・ユー」と告白する。
美樹子は母親を呼ぶが、母親にはこの肉玉は視えていない。
「アイ・ラブ・ユー」と繰り返すバケモノを、美樹子はバットで叩きのめすのだが…」
・「第13話 妖怪手術@」(「月刊ハロウィン」1991年9月号)
「両親が一晩留守の間、中学生の純子は試してみたいことがあった。
それは睡眠薬。
三錠飲んで、横になると、ぐんぐん眠りに引きずり込まれていく。
目が覚めると、彼女は妖怪病院の手術台の上。
医者達は彼女の腹をメスで切開し、内臓をかきまわす。
はっと気づくと、それは夢であった。
だが、腹部には縫い合わせた痕がある。
彼女は再び睡魔に襲われ…」
・「第14話 妖怪手術A」(「月刊ハロウィン」1991年10月号)
「無謀運転をする若者達の車に轢き逃げされた英理子。
彼女は緊急病院に運ばれるも、手の施しようがなく、もって一時間。
まだかろうじて息のある彼女を救うべく、父親は片端から病院を訪ねる。
どこも断られるが、唯一、妖怪病院の医者だけが彼女を助けることができた。
ただ、その引き換えに…」
・「第15話 妖怪刑事パック」(「月刊ハロウィン」1991年10月号)
「ある雨の夜。
秋代の部屋の窓を叩く音がする。
窓の外には、頭に翼のある小柄な生き物の姿があった。
彼は「妖怪刑事パック」と名乗り、凶悪妖怪「首喰い」を追いかけて、ここまで来たと話す。
「首喰い」はどうやら彼女の家に逃げ込んだらしい。
その時、母親が秋代を食事に呼ぶ。
パックは秋代を止めるのだが…」
・「第16話 妖怪トイレット」(「月刊ハロウィン」1991年11月号)
「今夜、マミはお留守番。
両親がいない間、彼女はビールを飲んで、ピザを丸ごと一枚食べて、お腹いっぱい。
しかし、暴飲暴食がたたって、夜中、お腹を壊す。
何度もトイレに行くも、何故か、閉めたはずの便器の蓋が毎回開いている。
不審に思い、彼女が隙間から中を見ていると、便器の中から手が伸びて、蓋を開けていた。
便器の中には何かがいるようなのだが、彼女は便意に勝てず、蓋を開けると…」
・「第17話 妖怪岩石」(「月刊ハロウィン」1991年11月号)
「交通量の多い道路。
ある女子高生が道路から助けを求める声を聞く。
それは石に手足と顔のついた妖怪岩石であった。
彼女は勇気を出して、妖怪岩石を道路に拾いに行き、河原に戻す。
帰ろうとした時、彼女はいじめっ子の集団に出くわし、リンチを受けるのだが…」
・「第18話 妖怪キョロキョロ」(「月刊ハロウィン」1991年12月号)
「今夜、彩香は一人でお留守番。
この付近では、一人暮らしの女性を狙った暴行殺人犯が逃走中で、不安で仕方がない。
試験に向けて勉強していると、窓の外で「ガリガリ」という音がする。
カーテンを開けると、何もいないようだが、ライオンのような髪を生やした顔だけの化物が一瞬、見える。
しかも、それは何匹もいるらしい。
そのうち、窓ガラスの割れる音がして、部屋のドアノブが激しく動く。
ドアの外にいるのは…?」
・「第19話 妖怪打出の小槌」(「月刊ハロウィン」1991年12月号)
「私立東京高校。
緑は田辺秋彦にベタ惚れしていたが、彼は浅井織江と相思相愛の仲であった。
ある雨の日、緑が下校していると、祠(?)の近くで「シャンシャン」という音を耳にする。
近づくと、虫のような生き物の父子がおり、父親が「妖怪打出の小槌」を振ると、リンゴが巨大化。
緑は父親の方を踏み殺し、その小槌を持ち帰る。
彼女は織江の写真を前に、小槌を振ると…」
・「第20話 妖怪刑事パック 妖怪コックの巻 前編」(「月刊ハロウィン」1992年1月号)
「塾の帰り、清田は花園に告白する。
花園は照れて走り去るが、先の路地で彼女の悲鳴が聞こえる。
清田が駆けつけると、「カニカニ」と鳴く奇怪なバケモノに彼女が捕まっていた。
バケモノは泡を出して、花園と一緒に姿を消す。
そこに妖怪パックが現れる。
パックによると、これは妖怪レストランのシェフ長、妖怪コックの仕業で、妖怪コックは人間の子供をさらっては料理にしているという。
花園を救うため、清田はおとりになるのだが…」
・「第20話 妖怪刑事パック 妖怪コックの巻 後編」(「月刊ハロウィン」1992年2月号)
「妖怪レストランの潜入に成功するも、清田は捕らえられ、パックはミキサーにかけられる。
清田は檻の中で花園の再会するが、その間にも、子供がまた一人犠牲となる。
その時、パックのバッジから声がする。
それはパックの仲間からで、パックを蘇らせる方法を清田に伝える。
清田が、パックのバッジを胸につけると、背中に羽が生えて…」
当初は慣れない「妖怪もの」だったためか、精彩を欠いておりましたが、この巻あたりから徐々に調子を取り戻していったように思います。
個人的には、「妖怪手術@A」が実に御茶漬海苔先生らしい内容で、好きです。
「妖怪キョロキョロ」は、ほっこりします。
また、「妖怪刑事パック 妖怪コックの巻」は昔、親戚の家で読んで、トラウマになってました。(子供が生きたまま、さばかれるシーン)
云十年の時を経て、トラウマ・シーンと再会した時、ちょっぴり感動しましたね。
ぶんか社・コミックスにてほぼ同内容で再刊されております。(差異は表紙、目次、タイトル表紙の文字の写植ぐらいだと思います。)
2023年10月5日 ページ作成・執筆