魚渕あかり・漫画/氷室奈美・原案「オーラが教えてくれること」(2019年1月30日第1刷発行)
氷室奈美さんは「透視画鑑定」(オーラ・ドローイング)を得意とする占い師。
彼女は幼少の頃より様々な心霊体験をし、中学校の頃にはタロット占いを始める。
21歳に漫画家デビューをし、「ハロウィン」等で活躍するも、ハードワークが祟って体調を崩し、以降、仕事を減らし、占い師と漫画家の二束わらじとなる。
占いは当初、タロットカードを使っていたが、それよりも絵に描いた方が早いと感じ、透視画に移行。
透視画とは彼女に視えたもの(依頼人のオーラの色、前世、霊的存在からのメッセージ)を絵と文章で表すというもので、占った件数は四万件以上(2019年時点)。
そんな彼女が過去に鑑定した依頼人について語る…。
・「Case1 小さな祈り」
「小さい頃から消防士に憧れ、その夢を叶えた男性。
大変な仕事ではあったが、彼にとっては天職で、また、結婚し娘にも恵まれ、幸せな毎日を送っていた。
ある日、通報を受け、彼は火災現場へと向かう。
火事になったのは一軒の民家で、中に子供が取り残されていた。
彼は助けに行くものの、自分の娘と同じぐらいの女の子が焼死するのを目の当たりにする。
その後、彼はその娘の母親と会うが、母親は彼の無事を喜び、彼を決して責めなかった。
それが余計につらく、彼は徐々に鬱状態になり…」
・「Case2 望郷と旅立ち」
「田中という30代の平凡なOL。
彼女は何に対しても情熱を持てず、仕事は生活のため、結婚はしているが相手も彼女と同じように冷めており、何となく一緒にいるだけの関係であった。
ある日、湯飲みがうまく掴めなかったことをきっかけに、彼女は身体の動きがどんどん低下していく。
医者に行くと、大病院への紹介状を書かれ、大病院では検査の連続。
それでも大したことはないと高をくくっていたら、彼女は原因不明かつ治療不可の難病で、数年で身体が動かなくなって死ぬことが判明する。
病状は季節と共に悪化していくも、彼女は可能な限り、働きたいと考え、努力する。
また、精神世界に興味を持つようになり、氷室奈美先生のもとに相談に訪れ…」
・「Case3 闇と虚飾を超えて」
「上海在住のハイソでセレブな50代後半のマダム。
彼女は上品かつ丁寧、更に笑顔がステキで、何もかも満ち足りているように見えた。
しかし、氷室先生が彼女に「オランダ十六世紀くらいの田舎町のおじいさん」の過去世を視る。
この老人はしょぼくれて、ビクビクしており、泥棒の冤罪を着せられ、村人たちから袋叩きにあって亡くなっていた。
これを聞くと、温厚だったマダムが激昂し、氷室先生を怒鳴りつける。
氷室先生はそこに根深いものを感じ…」
・「Case4 めぐる絆」
「氷室先生のもとに訪れた鈴木と佐藤の男女。
一見、恋人同士かと思いきや、単なる友人同士であった。
しかし、それぞれに話を聞いてみると、お互いに相手を思いやって、相手のために身を引こうとしている。
二人の過去世は兄妹で、洪水で兄は妹を助けようとするも叶わず、二人とも溺死していたのだが…」
・「Case5 自分への回帰」
「百合は30代の大人しい感じの女性。
彼女は専業主婦を希望で結婚相談所に通うも、なかなかこれと思う相手に出会えなかった。
彼女の過去世はアジア山間部の貧しい女性で、栄養失調で子供を死なせたことを強く悔いていた。
その子供は現生で彼女の母親なのだが…」
・「Case6 光明を探して」
「引きこもり歴十年の青年(25歳)。
彼は自己否定の塊で、自分を「悪魔」と呼んでいた。
彼はもともとは真面目で大人しい性格で、進学した高校になじめず、不登校になる。
父親は職人気質で家庭のことに無関心で、家族の会話はほとんどなかったが、ある日、父親は彼の部屋に怒鳴り込み、何故学校に行かないのかと責める。
彼は逆上し、大暴れして、以来、引きこもるようになったのであった。
そんな彼であったが、氷室先生の漫画のファンで、鑑定に訪れる。
彼の過去世は奈良時代か平安時代の頃の祈祷師で、村の葬式や雨乞い等を請け負っていた。
しかし、ある祈祷が叶わず、彼は村を追われることとなり…」
・「Case7 連鎖の昇華」
「千鶴は医師志望の女子医大生。
彼女の第一志望は外科医であったが、子供の頃から病弱&ケガが多く、体力的に楽な他の科を選ぶべきか、それとも、医者の道をあきらめるかどうか悩む。
氷室先生は彼女の過去世に中世ヨーロッパの男性を視るが、彼は波乱万丈の人生を送っていた。
借金を抱え、一家離散し、旅の道中、喧嘩の時の傷が悪化して、片足を切断。
一時は教会の階段で物乞いをしていたが…」
透視画鑑定で今も現役バリバリで活躍している氷室奈美先生。(バンダナが目印?)
この本は氷室先生が鑑定した様々な依頼者のエピソードを描くことを通して、人生をスピリチュアルな面から考えさせてくれる一冊です。
まず、「透視画鑑定」という方法が漫画家の特技をフルに活かしており、興味深いです。
また、漫画の合間合間には「かんたん!スピリチュアル講座」もあり、オーラやチャクラ等、目に見えない世界の豆知識を得ることもできます。
非常に読みやすいので、スピリチュアリティ初心者の方にはお勧めではないでしょうか。(まあ、「HONKOWA」を読んでる方の多くはある程度の知識をお持ちでしょうが。)
まあ、こういうものに興味を全く感じない人もおられるでしょう。
でも、黒澤明「生きる」のように死を前にしてあたふたするよりは、霊的世界の知識を多少は持っておいた方がよりよく生きることにつながると私は考えております。(注1)
・注1
でも、エラソ〜な霊能者が出てくる心霊漫画は大嫌い。
2024年6月19日 ページ作成・執筆