JET「13 ―学校怪談―」(1994年8月20日初版発行)

 収録作品

・「13」(1994年「月刊ハロウィン」3〜5月号掲載)
「第一夜 2月13日」
 バレンタイン・デーの前日。
 放課後の誰もいない教室を、一人の女子学生が訪れる。
 彼女は、意中の彼の机に、自分のチョコを入れようとする。
 だが、彼の机には先に誰かがチョコが入っていた。
 彼女はそのチョコをゴミ箱に捨て、自分のチョコを入れる。
 しかし、教室を出ようとすると、彼女のチョコは机から落ち、机の中にはさっき、捨てたチョコが入っていた。
 同じことが繰り返され、彼女は教室から出ようとするも、扉が開かず…。
「第二夜 13階段」
 水野靖子は、学校の屋上で、いじめっ子達のリンチにあった後、階段から転落死する。
 以来、その階段には、彼女の幽霊が出るとの噂が立つ。
 いじめっ子のリーダーは、その噂がデタラメだと証明する為に、夜中にそこを訪れるのだが…。
「第三夜 出席番号13番」
 新しいクラスになって、須藤江梨奈は孤立していた。
 クラスメートだけでなく、前のクラスでは親友だった三塚節子や、先生からも無視される。
 机に、花を生けた花瓶まで置かれて、ようやく江梨奈はあることを思い出すが…」

・「赤い顔」(1987年「プロムナイト」No.2掲載)
「ある写真週刊誌に載った、俳優の日高達彦の自殺写真。
 死の直前の日高達彦のサングラスには赤い女の顔が映っており、心霊写真と騒がれる。
 ライバル雑誌の記者、鷹瀬浩二は、これを利用し、「美女の呪い」として記事を組もうと考える。
 早速、日高達彦のマネージャーを訪問するが、彼は浩二の顔を見るなり逃げ出し、交通事故死する。
 しかし、車に乗っていたのは女性だったのに、実際の運転手は男性であった。
 日高達彦について調べるにつれ、奇妙な事実が明らかになる。
 二か月前、日高達彦とマネージャーは、あるホテルで女の自殺したいの発見者になっていた。
 更に、現場には、テレビの安部プロデューサーも仕事の打ち合わせでいたらしい。
 自殺した女性は、岩手県から上京してきた伏見理絵(22歳)。
 彼らの関係を探るうちに、意外な真相が浮かび上がってくる…」

・「殺意の双曲線」(1987年「ハロウィン増刊 ミステリーハロウィン」掲載)
「恵子は、友人の上司、高木一宏と不倫したうえ、妊娠する。
 彼からは結婚を申し込まれるが、恵子にはいまいちピンとこない。
 ところが、以来、彼女の周囲では奇妙なことが次々と起こる。
 駅の階段で突き飛ばされたり、化粧水に劇薬を混ぜられたりと、何者かが彼女に危害を加えようとしている様子。
 更に、彼女の様子を見張っている謎の男の姿もある。
 恵子は高木一宏と連絡を取ろうとするものの、休暇中で連絡が取れない。
 遂には、ベッドに猫の惨殺死体が置かれ、親友を電話で呼び出すのだが…」

・「いきなりサーガ」(1986年「リュウ」3、5月号掲載)
「榊原大海(さかきばら・ひろみ)は、会社の就職試験に来たところ、謎の老婆によって異世界に引きずり込まれてしまう。
 そこはナシアスの国で、彼は、隣国の王に捕らえられたエルシアーナ姫を助けなければならない…より正確に言うと、助けないと、もとの世界に帰れない。
 どうにか目的地の城に着いたものの、彼は何の能力も特技もない一般市民。
 途方に暮れていたところ、隣国の王、ティナが彼に戦いを挑んでくる。
 宝剣を老婆からもらったとは言え、こちらはど素人、ピンチに陥るが、どうにか逆転する。
 そこへエルシアーナ姫が現れるが、彼女は喜ぶどころか、逆上して、超能力を発揮。
 大海とティナはいずこかへと吹き飛ばされてしまう。
 しかし、意外な事実が明らかとなり、事態はますます混乱することに…」

・「YOKOHAMA LAZY BLUES」(1984年同人誌掲載)
「近未来のヨコハマ。
 恋人のフォーカスが毎夜、いずこかに姿をくらます。
 彼女は、友人達と共に、彼の後をつけるが、彼の向かう先はデス・ゾーンであった。
 そこは、三年前の震災で原子力発電所が爆発したことがきっかけに「死の街」と化していた。(でも、放射能汚染はないとのこと。)
 石灰の霧を抜けた先、フォーカスは、美しい娘と一緒であった。
 彼女は「ゼーフ症」患者で、長くは生きられない様子。
 彼が彼女に会いに行く理由とは…?」

 同人誌の作品等、それまで未収録だった作品を収録した単行本です。
 JET先生にとっては思い出したくない作品のようですが、「殺意の双曲線」が個人的には良かったです。

2021年2月22・24日 ページ作成・執筆

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