伊藤潤二「楽しい夏休み」
(1992年3月20日第一刷・1995年11月20日第七刷発行)
収録作品
・「楽しい夏休み」(「月刊ハロウィン」1991年8月号)
「夏休み、親戚の田舎に遊びに行く兄妹、裕介と路菜。
深沢という駅で降りると、親戚が待っていた。親戚は、両親と祖父、長男の公一、長女のさゆり、そして、次男の双一。
田舎で楽しく過ごす兄妹だが、彼らにつきまとうように双一の姿がある。
気味の悪いその子のために、兄妹の休暇に暗い影が差す…」
・「薄命」(「月刊ハロウィン」1991年9月号)
「綾子、弘子、千鶴はクラスでブサイク故にからかわれる存在。
ところが、千鶴が徐々に美しくなり始める。
いつの間にやら絶世の美女となるが、その美しさには病的な影が付きまとい、ある日、心臓麻痺で急死。
また、弘子、そして、弘子の妹、また彼女らに接触した女生徒達にも、その美しさは広がっていくが…」
艶麗な美女のキャラでも知られる伊藤潤二先生ですが、ブ○・キャラもなかなか捨てがたいものがあります。
わざわざホッペにナルト模様まで入れて、強調しなくてもいいと思うのですが…。
・「侵入者」(「月刊ハロウィン」1991年10月号)
「押切トオルは、一人暮らしであるのに、屋敷内で何者かの足音をしばしば耳にする。
そのことを調べようと図書館で異次元に関する本を読んでいた時に、彼は超常現象を研究する三人組と知り合う。
三人は押切の屋敷の異変のことを聞き、調査しようと屋敷に留まる。
そして、ある夜、屋敷に足音がして駆けつけると…」
・「寒気」(「月刊ハロウィン」1991年11月号)
「裕史の隣家の少女は産まれた時から謎の病気にかかっていた。
たまに調子のいい時には、彼女は顔を窓から覗かせ、無数の小さな穴があいた腕を伸ばし、庭の隅を指差している。
彼女を見ると、裕史は祖父の死に際を思い出すのだった。
幼い頃の鉛色の記憶では、祖父は身体中がくりぬかれたように穴だらけになって死んだのだ。
ある日、裕史の友人が家にやって来るが、彼は祖父の日記を本棚から発見する…」
・「案山子」(「月刊ハロウィン」1991年12月号)
「ある田舎の片隅にある共同墓地。
墓前に案山子を立てておくと、故人の顔になることが偶然に判明。
皆、それに倣い、墓地は故人の面影を宿した案山子で溢れかえる…」
案山子を扱った怪奇マンガはこれしか知りませんが、映画なら二つほど記憶しています。
現金の強奪犯が案山子ゾンビに襲われる「悪魔のスケアクロウ」と、精神薄弱の男が無実の罪で殺され、殺された時の案山子の格好で復讐するという映画(タイトル忘れ)です。DVDは出ているのでしょうか?
・「楽しい冬休み」(「月刊ハロウィン」1992年1月号)
「深沢という駅でふらりと降りた深谷弓子。
町をぶらぶらと歩いているうちに雪が降り始めたので、彼女は通りすがりの少年に旅館について尋ねる。
少年の指差す方へ向かうものの、どんどん森の中に入り込んでいく。
そして、辺りの木には藁人形が打ち付けられていた。
ふと地面に落ちていた藁人形を手に取り、木に打ち付けたところ、先ほどの少年、双一が木陰から飛び出してくる。
からかう少年を追おうとして、弓子は落とし穴に落ち、びしょ濡れになり、寒さで気を失う。
偶然に通りかかった公一により、彼の家に運び込まれるが…」
平成27年2月5日 ページ作成・執筆