内田春菊「吸血少女対少女フランケン」(1993年9月25日第1刷発行)

・「吸血少女 第1話」(1991年「ハロウィン」4月号掲載)
「バレンタイン・デー。
 高校二年の水島樹権(みずしま・じゅごん)のクラスも賑わっていた。
 だが、担任の教師は非常にイヤなハゲオヤジで、突如、持ち物検査をする。
 特に、樹権は担任に目を付けられており、もらったチョコレートは全部没収。
 屈辱感にまみれながら、下校しようとした時、見慣れぬ女子生徒が声をかけてくる。
 彼女の名は有角(あるかど)もなみで、同じクラスであった。
 もなみは彼に小さな包装のチョコを手渡し、走り去る。
 そのチョコは一粒だけで、中には真っ赤なクリームが入っており、変わった味であった。
 翌朝、気が付くと、上側の犬歯が二本、抜けている。
 学校で担任にからかわれ、反抗的な態度をとった樹権は職員室に呼び出される。
 担任は彼を木に縛り付け、体罰を行う。
 前歯を石で砕かれそうになった時、どこからかコウモリの群れが飛んできて、担任教師を襲う。
 その場にはもなみの姿もあったが、彼女の正体とは…?」

・「吸血少女 第2話」(1991年「ハロウィン」5月号掲載)
「もなみに吸血鬼にされてしまった樹権。
 彼は普通の生活を営みながらも、血への渇望に悩まされることとなる。
 そんな彼のために、もなみは血の入ったチョコレートをプレゼントする。
 だが、彼ともなみの仲を疑った女子生徒がそのチョコレートを奪ってしまい…」

・「吸血少女 第3話」(1991年「ハロウィン」6月号掲載)
「ある夜、もなみは通り魔に襲われ、返り討ちにする。
 だが、血を吸う現場を二人組の男に見られてしまい、どうやら一人は同じ学校の生徒らしい。
 樹権は彼女から協力を頼まれ、もしもの時は、一人で生きていくよう言われる。
 彼女は例の二人組に学校裏に呼び出されるのだが…」

・「少女フランケン」(1993年「ハロウィン」7,8月号掲載)
「雷で停電した夜。
 女友達に唆されて、森山双子(そうこ)は憧れの木野に電話をかける。
 しかし、電話口からは怪物のような叫び声しか聞こえてこなかった。
 二日後、双子の学校に、富良野計子(ふらの・けいこ)という女子生徒が転入してくる。
 彼女は両親と共に電車の事故にあったために、身体中、つぎはぎだらけであった。
 更に、彼女は記憶を失っており、木野の家の病院に暮らす。
 何故か、計子は双子を「おねえさん」と呼び、慕っている様子を見せる。
 だが、双子は一人っ子で、妹はいないはずであった。
 木野に頼まれ、双子は計子と仲良くしようとするも、馬鹿力だし、やけに臭う。
 木野は何やら隠しているようなのだが…。
 計子の秘密とは…?」

・「負けたくない」(1992年「ハロウィン」9月号掲載)
「ルリはサトコに対する嫉妬心でいっぱい。
 サトコの持っているものは何でも欲しいし、サトコのすることは全部、自分への当てつけとしか思えない。
 彼女への敵意を解消するため、ルリは「うらみ日記」をつける。
 しかし、ある日、「うらみ日記」を母親に見つかってしまう。
 日記は処分されるのだが…」

 怪奇マンガとも縁の深い内田春菊先生。
 個性的な作品を幾つも描かれておりますが、「吸血少女」シリーズはイマイチだと思います。
 個人的には、吸血鬼ものを描こうと思い立ったものの、話がさっぱり膨らまず、途中で打ち切った…という印象を受けました。
 一方の「少女フランケン」は、毛色の変わった「フランケンシュタインもの」として面白かったです。(とは言え、ムチャクチャな話ではありますが…)
 ちなみに、単行本のタイトルは「吸血少女対少女フランケン」となっておりますが、そんなアル・アダムソンのZ級ホラー映画のような作品は収録されておりません。念のため…。

2022年7月26日 ページ作成・執筆

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