菅生誠司「学園百物語」(2006年8月31日初版発行)
「夏休みの最中、龍峰第二高等学校教諭、多岐川彩子が校舎から飛び降り自殺を遂げる。
その学校葬の後、彼女と関係のあった四人の男女が手紙で呼び出され、今は使われていない弓道場で、百物語を行うこととなる。
卒業した順番に、彼らは、多岐川彩子が関わる、奇妙な物語を語る。
薬剤師の高森亜紀子は、瓶詰めにされていた、自分の過去を…。
フリーライターの柳原清は、死んだはずの友人から連絡があったことを…。
建築会社の現場監督、宮本健一は、ある雷鳴の夜、タイムスリップして、過去に存在した龍峰城に迷い込んだことを…。
彼らを百物語に招いた女子高生、加東磨矢は、彼女の年下の友人、野口新一郎に起こった、奇妙な出来事を…。
そして、百物語が終わる時…。
彼らの話に現れる「姉さん」の正体とは…?」
意欲的な小説ですが、若干、小難しいところがあります。
特に、高森亜紀子(「第一話 瓶の中」)と、柳原清(「第二話 まつりばやし」)は文章が凝っている分、読みにくさにつながっているように思います。
ただ、宮本健一(「第三話 幻影城決戦」)は、ストレートで生き生きとした描写、かつ、ドタバタな展開で、非常に面白く、一気に読めました。
ラストは個人的にはちょっと納得いかないという印象です。
挿絵は、すねやかずみ先生です。
ただ、あまり多くないのが、残念…。
2020年12月21日 ページ作成・執筆