大橋薫「迷いの街」(1999年7月1日初版第1刷発行)

 収録作品

・「迷いの街」(「月刊ホラーM」1998年4月号)
「七海はトシ先輩とこれからデート。
 でも、不気味な男の子に声をかけてから、ずっとつきまとわれる。
 その子は裸足で、何も話さず、にたにた笑っているだけであった。
 次には、友人の京子が突然、彼女の前に現れる。
 彼女は「迷っている」と言い、トシ先輩に気を付けるよう忠告する。
 七海はトシ先輩に大事な話があるのに、実は、彼女も迷っていた。
 どうにか彼に会えたものの、京子が彼女の周囲に出没する。
 京子の姿は彼女にしか視えないらしい。
 彼女が彼に、京子と何があったか聞くと…。
 彼らは「迷いの街」から出られるのだろうか…?」

・「透き間」(「月刊ホラーM」1998年7月号)
「6年2組同窓会。
 五年ぶりの和光瞳は美人に成長していた。
 彼女が会いたかったのは、彼女をいじめていた四人。
 前田、長野、舟橋、そして、リーダー格の八木。ただし、八木は欠席していた。
 瞳は三人に「タイムカプセル」について話す。
 それは、彼女の「大切なもの」で、校庭のどこかに埋めて隠されていた。
 クラスメート全員で捜すこととなるが、クラスメート達は前田達三人を殺してしまう。
 タイムカプセルが見つからず、途方に暮れる彼女の前に、少年が姿を現すのだが…」

・「蜘蛛の糸」(「月刊ホラーM」1998年10月号)
「イラストレーター志望の里香はホームページを開設する。
 ろくな反響はなかったが、ただ一人、「スパイダー」と名乗る人物は彼女を高く評価してくれる。
 彼は「才能あふれる魅力的な女の子のホームページ」のリンク集を作っており、彼女もリンクする。
 そのリンク集の中に、隣のクラスの春美のホームページがあった。
 里香が春美にその話をすると、春美は「スパイダー」を「電脳ストーカー」呼ばわりして、忌み嫌う。
 やがて、里香もその言葉の意味を理解することとなる…」

・「電子憎悪」(「月刊ホラーM」1999年4月号)
「彩は、パソコンが秘密の趣味。
 「naffy」のハンドルネームで、クラスメートに「不幸のメール」を送るのが、ちょっとした楽しみであった。
 だが、クラスの委員長が「naffy」の正体を突き止めようと言い出す。
 彩は委員長に「もうすぐ切り刻まれて死ぬ」とメールを送るが、委員長は通り魔によって殺害されてしまう。
 これで「naffy」のことは誰も探らなくなったものの、通り魔のニュースで、「naffy」は話題にならなくなってしまい…」

・「保健室の神様」(1998年「増刊ホラーMスペシャル」Vol.2)
「第1話 歪んだまなざし」
 クラスメートの亜美は、変質者に追い詰められて、屋上から転落死した。
 拓は、彼女に嫌われていたため、彼女の死にも平然とする。
 それでも、通夜に行くべきかどうか考えていると、旧校舎には存在しないはずの保健室の扉を開く。
 そこにはケバケバな保健の先生がいて、どこが悪いのか聞いてくる。
 拓が混乱していると、誰かが保健室のドアを叩く。
 それは、死んだはずの亜美であった。
 拓は先生に亜美の話を打ち明けた後、二人は屋上へと行くのだが…。
「第2話 邪(よこしま)なささやき」
 めぐみは、独特な雰囲気の亜美を小憎らしく思っていた。
 そこで、友人達に、亜美に関する嘘を言いふらす。
 更に、拓と亜美が仲よさげなのに嫉妬し、拓には、亜美が嫌っていると吹き込む。
 だが、次第に亜美はクラスメートからいじめを受けるようになる。
 また、拓に、彼女の嘘がばれると知って、めぐみは…」

 ホームページを作る作品に時代を感じ、感慨深かったです。
 当時、大橋薫先生は、双子の楠桂先生と共にホームページを運営しておりましたので、その経験が反映されているのかも。
 今はSNSやブログが主流で、個人のホームページは流行らないとは思いますが、この「手作り感」が私は好きです。

2021年10月28日 ページ作成・執筆

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