曽祢まさこ「呪いの招待状B 誕生日に殺される」(2000年8月1日初版第一刷発行)
カイは呪殺専門の呪術師。
彼は依頼者の寿命十年と引き換えに、憎い相手を呪殺してくれる。
さて、今回の依頼は…?
・「魅せられて」(1996年「月刊LCミステリー」5月号)
「私立S学院中等部二年の野々村美保。
中等部に上がった時、彼女は望月琢磨と再会する。
彼は幼い頃から乱暴者で、彼女は幼稚園で毎日のようにいじめられていた。
成長しても腕っぷしの強さと気性の荒さは相変わらずで、早速、高等部の連中と喧嘩をして、KOする暴れっぷり。
美保は彼を無視するも、彼は美保が付き合う男に暴力を振るい、別れさせる。
それだけでなく、彼女を「自分の女」呼ばわりして、遂には彼女に声をかける男はいなくなる。
美保はこのことに抗議し、彼が大嫌いだとはっきり告げる。
ところが、琢磨はこのままだと女友達もただですまないと脅し、無理矢理彼女の唇を奪う。
美保の憎悪は殺意へと変わり、彼女はカイに望月琢磨の呪殺を依頼するが、彼の本心とは…?」
・「ぼくが見た男」(1996年「月刊LCミステリー」6月号)
「和巳が五歳の時、父親が刺殺され、母親は頭を打って重傷を負うという事件が起きる。
唯一の目撃者は彼であったが、「しらないおっきなおニイちゃん」という証言では役に立たず、母親も記憶障害を起こしており、結局、迷宮入りとなる。
彼は母親と祖父の三人で暮らすが、中学二年の時、今度は母親が急病で亡くなる。
両親を亡くした彼を励ましてくれたのが、町田というプー太郎(20代後半)であった。
彼は五、六年前から近くのアパートに住んでおり、彼の一家と妙に仲が良く、家族ぐるみで付き合っていた。
町田は和巳に「悪い思い出」も「試練をのりこえて成長したと思える時がきっとくる」と話すが、その言葉が彼の苦しみに火をつける。
和巳はあの犯人さえいなければ自分は幸せな生活を送っていたと考え、犯人がのうのうと生きていることが許せない。
彼は犯人の呪殺をカイに依頼しようとするも、呪殺する相手の写真か持ち物が必要であった。
そこで、彼はポラロイドカメラで念写の実験を繰り返し、山ほどの失敗を重ねた末、ようやく成功する。
彼は写真を手にカイのもとを訪れるのだが…」
・「切れない鎖」(1996年「月刊LCミステリー」7月号)
「みほは小学校に入る前に両親を亡くし、以来、13歳年上の姉、真帆がずっと面倒を見てくれていた。
しかし、中学校に入った頃から、姉の過保護が息苦しくなる。
みほは姉が会社の同僚と結婚することを望むが、彼女はあっさりその話を断ってしまう。
実は、真帆は子供の望めない身体であった。
そして、そのことはみほと関係があった…」
・「誕生日に殺される」(1996年「月刊LCミステリー」8月号)
「木元誠子はわがままな娘。
と言うのも、彼女の二十歳の誕生日には祖父の莫大な遺産が相続されるからであった。
十年前から、両親は彼女をチヤホヤし、何かと気を配る。
また、彼女も調子に乗って、異父妹である文香をことあるごとに顎で使う。
誕生日の一月前から、誠子は何度も危険な目にあう。
このままだと遺産は全て彼女のものになるので、親族が彼女の命を狙っていた。
だが、黒服の男と黒猫が彼女の危機をいつも救ってくれる。
黒服の男は「約束の日まで守る」と言い、彼女は彼の腕を試すため、わざと危険に身をさらす。
そして、誕生日の前日を迎えるが…」
2023年7月11日 ページ作成・執筆