渡千枝「子抱き観音」(1998年4月1日初版第1刷発行)

 収録作品

・「子抱き観音」(「月刊ホラーM '01年11月号〜'02年1月号」掲載)
「15歳の八杉幸は優しい両親の下で幸せに暮らしていた。
 しかし、父親は高校生に電車内で刺殺され、四十九日が過ぎた頃、母親の峰子が失踪。
 その際、幸は、母子手帳があるにも関わらず、母親とは血のつながりがないことを知る。
 同じくして、紀野京一郎という青年が彼女に会いに来る。
 彼は、幸が、紅夜野(くやの)村の陶芸家、紀野忠輔の実の娘で、彼女の母親は環(たまき)という女性であると話す。
 ことの真相を確かめるために、幸は京一郎と共に紅夜野村を訪れる。
 紅夜野村は山奥にある、陶芸が盛んな所で、紀野家は土地の名家であった。
 だが、幸を歓迎してくれるのは、実の両親だけであって、祖母、妾腹の娘達(藍子、翠子(みどりこ)、紅子)は彼女を冷遇する。
 というのも、環は、幸を紀野家の正当な後継ぎであると主張し、養子の京一郎と結婚させようとしていたからであった。
 複雑な家庭環境に戸惑う幸に、京一郎は、たづの祟りかもしれないと話す。
 昔、この村の滝に、念願の子供が授かるも、姑(しゅうとめ)に滝壺に突き落とされて、亡くなった、たづという女性がいた。
 たづの呪いは凄まじく、夫は観音像を作って、その霊を慰めるが、その像が血を流すたびに、村の子供の命が奪われたのだという。
 そして、紀野家は、たづの夫の血筋であるらしい。
 たづの祟りか、紀野家の血をひく娘達が何者かに殺害されていく。
 その最中に、村では十五年に一度の「御子送りの儀」が開催されるのだが、その真の目的とは…?
 そして、殺人者は誰なのだろうか…?」

・「魔を呼ぶ家」(1993年「月刊少女フレンド1月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「加納麻紀子は、交通事故で夫を亡くし、幼い江麻との母子家庭。
 翻訳の仕事で生活を支えていたが、より便利な東京に引っ越すこととなる。
 二人の新居はごく普通の家で、江麻は大はしゃぎ。
 しかし、徐々に江麻の様子に変化が見られるようになる。
 焼け焦げた絵本を大事にして、時々、別人のような怖い顔をして麻紀子を見つめる。
 また、江麻には「ヨーコ」という遊び友達がいるらしい。
 麻紀子はその名前に古い記憶を呼び覚ますものを感じるのだが…」

2019年12月8日 ページ作成・執筆

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