呪みちる「口裂け女あらわる! 〜昭和怪奇伝説〜」(2008年3月1日発行)

 収録作品

・「スケスケメガネ伝説」(「恐怖の快楽」2002年9月号)
「昭和の話。
 町の外れに立つ、スケスケメガネに関する広告の立て看板。
 それを手に入れるためには、自分の小遣いから、自分への積立貯金までつぎ込まねばならないという。
 そうして、手に入れた少年を待ち受けた運命とは…」

・「口裂け女あらわる!」(「まんがグリム童話」2007年11月号)
「昭和の話。
 塾帰りの子供達の間に、口裂け女の噂が広がる。噂はどんどん広がり、収束する気配を見せない。
 母親に強制的に塾通いをさせられていた少女が見た、口裂け女の正体は…」

・「黒い清涼飲料水」(「まんがグリム童話」2006年6月号)
「リストラ目的の左遷人事にもめげず、「Zコーラ」というヒット商品を出した女性。
 彼女は退職する前に、自分の上司に「Zコーラ」の秘密を話すと言う。
 その秘密の前に、彼女は、開発のきっかけになったという、小学校の頃の体験を話す。
 ある夏、子供達の遊び場となっている神社の片隅に、コーラを売る露天商が現われる。
 子供達は皆、その味の虜となるが、次第にコーラは値上がりをする。
 遂に、子供の手には届かぬ値段となり、諦めるが、コーラを飲まないと、苦しくてたまらない。
 しばらく経って、落ち着いたものの、あのコーラは「人間味のコーラ」だという噂が立ち始める…」

・「だるま女の話」(「まんがグリム童話」2002年7月号)
「戦前に建てられた古い屋敷に住む老女のもとに通うヘルパーの女性。
 ある日、老女は倒れ、病院でヘルパーに自分の秘密を打ち明ける。
 彼女は屋敷で「だるま女」の世話をしながら暮らしていたのだ。
 そして、老女は彼女の過去を語る…」

・「タイヤ」(「ホラーM」2004年10月号)
「小学生のタイヤ遊び。
 嫌われ者のグジ男を密封したタイヤの中に閉じ込め、遊んでいたら、急にタイヤがぺちゃんこになってしまう。
 グジ男は死んでしまうが、事故死ということで片付けられる。
 そして、十数年後、結婚式の余興の潜水艦の中で、グジ男の死因が明らかとなる…」

・「ヌガーの少女」(「オール怪談」1998年・No9)
「非の打ち所のない生徒会長真田桐子は恋をしてから、全く自堕落になってしまう。
 長らくの友人であり、副会長であった山田よし子は愛想を尽かして、桐子から離れるが、ある日、留守電に彼女からのメッセージが入っていた。
 それは風間丈という男への想いを訴えたものであり、また、よし子の助けも求めていた。
 この風間丈という男は、図書館で気味悪い本ばかり読み、人体模型を盗んで退学になったという変人であった。
 よし子は風間の家に向かうが…」

・「ウジ女」(「まんがグリム童話」2004年11月号)
「羽仁よし子。有名大学大学院を卒業したものの、唯一の肉親である母親を亡くすと同時に、勤めていた会社が倒産。
 バタバタした中で、再就職をするものの、上司の風当たりが強く、どんどん落ち込んでいく。
 引きこもりとなった彼女はゴミだらけの部屋で暮らすうちに…」

・「3本足の人形」(「まんがグリム童話」2004年1月号)
「ある邸に新しい母親としてやって来た弓子。
 しかし、前妻の子である洋子は弓子に対して心を開こうとしない。それどころか、新しい母親に対する嫌がらせはひどくなるばかり。
 遂に堪忍袋の緒が切れて、洋子を折檻する弓子に、洋子は人形に命令されてやったと答える。
 その人形とは、ぱっと見は既製品の人形のようだったが、足が三本あった。
 弓子は怯える洋子に構わず、人形を捨てるが…」

・「復讐の人面疽」(「オール怪談」1998年・No11)
「父親は事業の失敗で自殺、母親は水商売、そんな貧しい家庭ののり子。
 彼女がゴミ捨て場で遊んでいた時、ケイという妖精の子を見つける。
 のり子はケイと毎日楽しく過ごすが、ある日、風間丈という奇妙な男と出会う。
 彼は、ケイを、危険な小人型宇宙人と呼び、探していた。
 彼から逃げる際、のり子は転んで膝を擦りむく。
 帰宅後、その傷をケイが嘗めると、以来、膝にできものができ、それがどんどん広がっていく。
 妖精の正体とは…?
 そして、妖精を探す風間丈という男との関係は…?」

・「地獄をのぞく鏡」(「オール怪談」1999年・No14)
「勉強漬けの毎日をただただ受け入れる少女、佐野ふみ子。
 彼女はホロコーストの写真を見て衝撃を受けて以来、「この世の地獄」に関する本を手に入れようとするも叶わない。
 ある夜道で、奇妙な男が彼女に「地獄をのぞく鏡」を貸してくれる。
 その鏡は、地獄の風景を実況中継する鏡であった。
 彼女は鏡に夢中になり、日がな一日、地獄で罪人達が責め苦にあうのを見て飽きない。
 そんなある日、鏡の向こうから、彼女の亡くなった父親が話しかけてくる…」

・「魔食」(「恐怖の快楽」2001年7月号)
「古ぼけた、ぽっとん便所。不良の女子生徒が煙草に火をつけると…」

・唐沢俊一氏・解説「呪みちる作品の意外な効用について」

 好きな作品は「タイヤ」「3本足の人形」「地獄をのぞく鏡」です。
 特に、「地獄をのぞく鏡」は傑作だと思います。
 昔から「地獄」を描いたマンガは多々ありますが、その中でも、なかなか楽しそうな「地獄」ではありませんか。(堕ちたくはありませんが…。)
 「地獄」には、ジミ・ヘンドリックス(ギターを離さないのが流石!!)もマーク・ボランもシド・ヴィシャス(?)もいるみたいですので、もしかしたら、スティーブン・キングの「いかしたバンドのいる町で」(注1)みたいな感じの所かもしれません。堕ちる機会があれば、ジェリー・ガルシアに『ONE MORE SATURDAY NIGHT』をリクエストいたしましょう。ジョン・シポリナもロイ・ブキャナンもいるでしょうから、なかなか楽しみであります。

・注1
ジェフ・ゲルブ・編「ショック・ロック」(扶桑社ミステリー文庫/1992年11月30日発行)収録

2015年2月4日 ページ作成・執筆
2018年9月20日 加筆訂正
2018年10月25日 加筆訂正

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