川口まどか「海に降る星」(2000年4月1日初版第1刷発行)

「藤原めぐみは高校生。
 両親は「ペンション・ブルー」を経営しており、そのペンションは町外れの海に最も近い場所にあった。
 時々、このペンションには「夜の客」が来る。
 彼らは夜暗くなって、チェックインし、チェックアウトしていた。
 彼らは父親の知り合いで、外見は様々なのに、髪が長く、背が高い点は共通している。
 更に、彼らはめぐみにはわからない外国語を話す。
 彼らが言うのは、彼らに定住地はなく、「海を旅する民族」らしい。
 めぐみは幼い頃は両親と仲が良かったが、最近は、父親の過干渉が鬱陶しくて仕方がない。
 特に、父親は門限に非常に厳しく、更に、突然、外出禁止を命令することもある。
 ある日、彼女は女友達に合コンに誘われる。
 しかし、町に出たところで、「夜の客」のカイリという青年が現れ、彼女に帰るよう促す。
 どうやら彼女の母親が行方不明になったらしい。
 バスで帰る途中、めぐみとカイリは何者かに襲われ、船に拉致される。
 二人を誘拐したのは自然保護団体ノアンで、母親も彼らにさらわれていた。
 ノアンは、彼らの船のスクリューに人魚のミドリーとルキアが巻き込まれたことから、「ペンション・ブルー」のことを知り、めぐみの父親が人魚であることを突き止める。
 そして、彼らはめぐみの母親に自白剤を飲ませ、めぐみの父親がめぐみを将来、自分の妻にしようとしていると明かす。
 ノアンの人々は「人魚は危険な生き物」と言って、めぐみを救おうとするのだが…。
 一方、拘束されたカイリは真実を見抜き、脱出の機会を窺う。
 また、めぐみの父親も反撃の機会を窺っていた…」

 「人魚」をテーマにした作品の続編で、2000年「ホラーM」9月号〜11月号にかけて掲載されました。
 前作よりも、スピリチュアルな要素の濃い内容で、作者の理想が「人魚」にかなり反映されているようです。
 しかも、「人魚=宇宙人」にまで話が広がっており、なかなか壮大です(が、こちらとしては唖然とするしかありません。)
 ともあれ、ベテランによる力作ですので、読みごたえは十分にあります。

2023年5月20日 ページ作成・執筆

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