吉川うたた「すっくと狐@」(1996年2月1日初版第1刷/1997年7月15日第2刷発行)

 松下実花(まつした・じっか)は丙午生まれのボーイッシュな女の子。
 彼女の通う学校近くの七ツ森神社には玄狐(くろぎつね)の唱(となう)が祀られており、彼女は唱が力を取り戻す手助けをする。
 以来、実花と唱は様々な怪異と直面することに…。

・「玄狐」(1993年「増刊ホラーM」VOL.3)
「実花の住む地域で溺死事件が四件も続けて起きる。
 帰宅途中、実花が友人の上杉弓弦(霊視能力あり)とそれについて話していると、学校の近くの古びた社から「もっと死ぬぞ」と声がする。
 声の主は社に棲む玄狐の唱。
 実花は相手にしなかったが、友人が原因不明の水死をし、社を訪れる。
 溺死事件の犯人は「水の妖」であるが、今の唱は無官で力が弱い。
 丙午の実花が彼に力を貸せば、何とかなるかもしれないと唱は言うのだが…」

・「水虎」(1994年「月刊ホラーM」VOL.6)
「唱が力を取り戻したことを快く思わない妖怪たち。
 彼らは実花を殺すため、弓弦にとり憑き、実花を襲わせる。
 唱は弓弦ごと妖怪を八つ裂きにしようとするが…」

・「九十九神」(1994年「月刊ホラーM」VOL.7)
「学校の倉庫で生徒が二人、怪死する。
 その現場の前で実花は古びた鏡を拾い、家に持ち帰り磨く。
 すると、鏡に学校が映り、次に惨殺された男性の死体が映る。
 実花が学校に向かうと、パトカーや先生の車はあるのに校内には人の気配がない。
 彼女が人を捜していると、黒板から異形のモンスターが現れる。
 モンスターの正体は…?」

・「濡れ女」(1994年「月刊ホラーM」VOL.8)
「プールの授業の時、見知らぬ女子生徒が金網の外から実花に声をかけてくる。
 その女子生徒は寂しがっており、また、唱のことを知っているようであった。
 夕方、実花と弓弦が下校しようとすると、プールからあの女子生徒が足が攣ったと二人に助けを求めてくる。
 弓弦が止めるのを聞かず、実花は女子生徒に手を差しのべるが…。
 女子生徒の正体は…?」

・「行逢神(ゆきあいがみ)」(1994年「月刊ホラーM」VOL.9)
「実花、弓弦、京子、草太と男子二人の計六人は月の森キャンプ場を訪れる。
 ここはいろんな施設があり、安いのに、人の少ない穴場であった。
 だが、着いてすぐ男子の一人がケガをして、もう一人も熱を出してしまう。  帰り支度をしていると、京子が突如、バンガローをとび出し、凄い速さで走り去る。
 京子は何かボールのようなものを追いかけていた。
 実花・弓弦・草太は彼女を追うが、濃い霧が出て、実花は二人とはぐれてしまう。
 とりあえず、音のする方に行くと、そこには滝があり、そばには巨木が立っていた。
 その巨木の下には人の顔に動物の体の妖怪(彭侯)がおり、実花は京子の行方を彭侯に問う。
 彭侯は「行逢神」に引かれたと答えるのだが…」

・「人面樹」(1994年「月刊ホラーM」VOL.10)
「加奈は植物をこよなく愛する園芸部員。
 ある日、見知らぬ男から珍しい花の種をもらう。
 加奈はすてきな花を咲かせようと精魂込めて世話するが、同時に衰弱していく。
 実花が様子を見に行くと、その植物は一週間で人の背丈ほどに成長し、どう考えても普通の植物ではない。
 しかし、加奈はこの植物が花を咲かすまで待ってほしいと実花に懇願する。
 以来、加奈は学校を休み、その間に園芸部員が二人行方不明になる。
 ある時、実花は加奈を校舎の外で見かけ、彼女の後を追う。
 学校の裏庭はジャングルのようになっており、その奥には…」

 「すっくと狐」は「ホラーM」で連載されたヒット・シリーズです。
 登場人物のキャラ立ちが良いだけでなく、ストーリーはホラー・ファンタジー・妖怪・恋愛・友情・ユーモアといった要素のバランスがうまくとれていて、エンターテイメントとして優れております。
 ちなみに、特筆すべきはグロ描写で、「ホラーM」のカラーに合わせたのか、予想以上にやってくれてます。(無関係な人、死にまくりですが…。)
 そのヘビーな描写がこの作品の場合、良いアクセントになって、印象に残る作品になっているように思います。
 今、読んでも、名作ですね。

2026年2月11・12日 ページ作成・執筆

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