いなば哲「吸血城の花嫁」(150円)
収録作品
・いなば哲「吸血城の花嫁」
「江戸に出て来た風之助。
亥の刻(午後十時頃)、友人の佐々木金助宅に向かう途中、風之助は道端に座り込んでいる花嫁姿の女性を目にする。
風之助が声をかけると、女性は死んでおり、しかも、首が切断されていた。
厄介事は御免とその場から立ち去ろうとするが、与力達に取り囲まれ、追われる身となる。
その頃、江戸では、「吸血城の花嫁」としてにすると、若い娘がさらわれ、三日後、生き血と生き胆を抜かれ、首を切られた死体で発見される事件が続いていた。
濡れ衣を着せられた風之助は、このままでは佐々木金助の前に顔を出せず、身の証を立てることを決意する。
一方、佐々木金助は、風之助らしい人物が「吸血城の花嫁」事件の犯人にされていることを訝る。
その夜、金助の屋敷に、覆面した武士達が押し入る。
彼等は「吸血城の使者」を名乗り、金助の片目を潰し、彼の妹、志乃をさらって立ち去る。
金助は彼らを追おうとするが、謎の侍に峰打ちにされ、気絶。
その頃、風之助は、怪しい籠と一群が、朝霧藩の江戸屋敷に入るのを目撃。
不審に思う彼の前に、菩薩竜之介と名乗る盲目の侍が現れ、その奇怪な雰囲気に仕方なく立ち去る。
金助の屋敷前で、風之助は金助を介抱し、今までの経緯を説明する。
妹を救おうと金助は朝霧藩に単身乗り込み、風之助もその後を追うが、結局、二人とも囚われの身となる。
二人が監禁された牢屋の前では、祈祷師が花嫁衣裳の志乃の前で、延々と呪文を唱えていた。
「吸血城の使者」の正体とは…?
そして、「吸血城の花嫁」にされた志乃、風之助、金助の運命は…?」
・丸山たかし「炎上」
「戦国時代。
兵藤茂助は、武田軍に敗北した報を届けるために、甲子城に向かっていた。
その途中、里の娘に助けられ、茂助は無事に城に到着する。
だが、その娘は、千という名の女忍者であった。
千の目的は、戦の前の城内攪乱であり、彼女は茂助に、城の改築のために駆り出された男達が、秘密を守るために皆殺しにされたことを教える。
茂助は、死体の中に自分の父親の生首を見つけて逆上、味方の武士達を斬り殺して、村へと戻る。
彼は、村の女達にことの次第を説明し、自分で自分の身を守るために、残った村人達を武装させる。
千の任務はこれで終了であったが、茂介に惹かれた彼女は、彼と共に破滅の道を歩むのであった…」
凄いマンガです。
何が凄いかって、タイトル表紙を見たら一目瞭然ですが、とにもかくにも「絵」が凄い…。
こんな濃い「絵」には昨今、そうそうお目にかかれません。
あえて形容すると、「煮凝り」のようなマンガです。
男性キャラは、今にも地球が滅亡しそうな面を常時しており、暑苦しくてかなわないのですが、それよりも女性キャラの方が破壊力は上のように思います。
これも形容が難しいのですが、「浮世絵フェイス」を劇画化しようとしたら、こんな感じになるのでしょうか?
下の画像の「くノ一」なんか「萌え」なんて安直な要素が微塵も存在しておりません。
右の画像では「指をくわえる」というエロチックな要素のある仕草でさえ、「おぞましい」という印象のみ。
「お色気だけがくノ一ではないこと」を我武者羅にこちらの脳裏に刻み込んでくれます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。表紙の絵をなぞった痕あり。糸綴じあり。本文、破れ、シミ、切れ、汚れ、欠損、非常に多し。後ろの遊び紙に貸本店のスタンプあり。
2017年8月27日 ページ作成・執筆