いなば哲「怪談人吸い井戸」(160円/1961年秋頃)
「伊藤光三郎、五島頼之進、藤田敏十郎、長井隆之助の四人は旗本愚連隊(つまりは、不良侍)。
ある日、肺病を病んだ伊藤を、残りの三人が見舞いに訪れる。
伊藤の屋敷では、お新という女中を除いて、使用人は皆、逃げ出していた。
お新は肺病の伊藤を甲斐甲斐しく世話していたが、五島達にはそれがおもしろくない。
そこで、彼らは、家宝の壷を割った罪をお新にかぶせ、伊藤を煽る。
腰抜け呼ばわりされた伊藤はやむなくお新を手討ちにし、お新は恨みを抱きながら、裏庭の井戸に転落。
また、その現場を目撃した大工も五島達に襲われ、井戸に落ちてしまう。
五島達は、たまたま弁当を持ってきた大工の息子をも追うが、大工の息子は、通りがかった侍とその妹に命を助けられる。
侍と妹は、お新の弟妹、秋葉千太郎と美絵で、二人は姉弟そろって暮らすために田舎から出てきたのであった。
彼らは伊藤家を訪ねるが、当然、お新の姿はなく、伊藤の様子もおかしい。
一方、ことの発覚を恐れた五島達三人は、伊藤だけでなく、千太郎と美絵も始末しようと画策するのだが…」
基本は「皿屋敷」に、旗本愚連隊を絡ませて、長編に仕上げております。
怪奇度はそこまで高くはありませんが、構成がしっかりしており、今読んでも、なかなか面白いと思います。
ただ、多くの人が貸本マンガに求める「奇抜さ」は稀薄で、ストーリーは予定調和の中に納まります。
でも、そこが安心して読めるポイントなのであります。
・備考
ビニールカバー貼りつけ。金綴じあり。前後の遊び紙、茶紙で補強。前の遊び紙、p1、p8、pp134・135(読者の似顔絵ページ)、落書きあり。pp97・98、コマにかかる欠損あり。読み癖がひどく、欠損、裂け、シミ、汚れ、多々あり。
2018年9月16日 ページ作成・執筆