「怪談特集D」(発行年月日不明/150円)



 収録作品

・東田健二「忍法さらし烏」
「山奥を行く侍の主従。追いはぎで生計を立てていた忍者達は、その侍に仕官する生活を望む。侍と交渉した兄妹の忍者は、仲間の裏切りに遭い、妹は殺害される。瀕死の重傷を負いながら、何とか生き延びた兄は、妹の復讐のため、自分を裏切った忍者に復讐するが…」

・丘山あきら「闇に光る首」
「浪人の甲四郎は、とある夜、町人が複数の覆面姿の侍に襲われている場面に遭遇する。殺された町人の首はぼうと光っていた。その首を巡り、甲四郎は幾度も命を狙われる。調べているうちに、甲四郎は偽小判つくりの陰謀に巻き込まれていく…」

・山口勇幸「怪猫剣」
「白髪鬼という盗賊団に父母を殺された勝手四郎は、愛猫のタマと二人暮し。四郎と猫の仲の良さは、近隣で評判となり、殿様と会う事になる。が、タマは殿様を引っかいてしまい、剣豪・川崎源心斉に切り殺されてしまう。タマの復讐のために、四郎は源心斉を襲うが、返り討ちにあい、右腕を失う。源心斉に勝つには、新しい剣法を生み出す必要を痛感する四郎の前に、お玉という女性が現れる。四郎はお玉から「八方斬り」という剣法を授かり、四郎は御前試合で源心斉に挑むのであった…」
「怪談特集」での、多分、山口勇幸先生の第一作です。
 後の荒れまくった画風とは違い、時間的・体力的余裕があったためでしょうか、非常に丁寧に描かれております。ちゃんと定規を使っていますし、描線がコマからはみ出ることもあまりありません(…って、それは特筆すべきことなのか…?)
 この作品や「剣陣」の作品を読んだ限りでは、山口勇幸先生は、それなりの画力があったことが窺えます。
 そして、先生の個性は「怪談特集」第一作目から炸裂しております。
「プリンセス・テンコー」ちっくなお玉といい、「コニャニャチハ」なお殿様といい、キャラがどことなく脱力系であるのが、現在から見ると、ちょっとポップかもしれません。

・備考
P.P.47-48 P.P.49-50 ページ破れ・テープ補修あり

平成26年4月29日 執筆・ページ作成

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