「怪談特集K」(150円)


 収録作品

・沢田竜治「(ページ欠損によりタイトル不明)」
 舞台を江戸時代にして、登場人物を多少変えてはおりますが、ヒッチコック「サイコ」を丸パクリした内容なので、粗筋は割愛いたします。
 当時の怪奇マンガ・シーンに「サイコ」が与えた影響はどんなものなんでしょうかね?

・山口勇幸「吹雪」
「小野道場には二人、剣の使い手がいた。
 一人は、病気の妹の看病に追われ、貧乏暮らしをしながらも、真面目に道場に通う石川佐太郎。
 もう一人は、わがままな、金持ちのボンボン、山中源四郎であり、二人の腕はほぼ互角であった。
 道場では、春に野外試合が催され、その褒賞は名刀「白雪」であったが、源四郎は「白雪」が欲しくて仕方がない。
 そのために、邪魔者の佐太郎の殺害を考えていたところ、どうも佐太郎の方から何か話があるらしく、夜、裏山で二人は会うこととなる。
 源四郎は、佐太郎も自分と同じ考えと思い、刀を抜いて襲いかかるが、佐太郎は単に病気の妹のために、金を借りる相談をしに来ただけであった。
 不意を突かれ、佐太郎は源四郎の凶刃に倒れる。
 源四郎は佐太郎の死体を雪の中に埋め、山を降りようとした時、吹雪に見舞われる。
 仕方なくほら穴をつくって、やり過ごそうとするが、彼が居眠りから覚めた時、埋めたはずの佐太郎の死体がそばにあった…」
 要は、S・H・アダムス「テーブルを前にした死骸」(「怪奇小説傑作集A」(創元推理文庫)収録)です。
 山口勇幸先生の作品の中では、あまり面白味のない内容かも…。

・船野竜児「闇に光る眼」
「刀マニアの侍、竜太郎。
 母の危篤の報に接し、急いで故郷に向かう際、彼は荒れ果てた山寺に一夜の宿をとる。
 そこには、片目・片腕・片足の気味の悪い武士が先客としていた。
 武士は、名刀正宗の呪いにより、このような身体になったと話す。
 呪いのたぐいは信じない竜太郎は、正宗に魅せられ、武士を斬殺し、刀を奪う。
 武士は、竜太郎も自分と同じような身体となり、ぶざまに死ぬだろうと告げるのだが…」
 突っ込みどころがいちいち多く、全体的にイマイチです。
 後半の正宗の呪いの描写を頑張ってくれれば、また評価が変わったかもしれませんが、意味不明かつ中途半端です。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛みあり。カバーの袖をテープ留め。pp1・2、欠損。切れや裂け、多し。pp75・76、大きな裂けあり。後ろの遊び紙に貸本店のスタンプ押印。

2018年10月15日 執筆・ページ作成

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