「鬼C 日本怪談全集」(150円)



 収録作品

・岩井しげお「恐神(おそれがみ)」
「武芸修行中の司新吾は、荒れ果てた道場を見つけ、訪れる。
 呼んでも返事はなく、彼はそこで一夜を明かすことにする。
 夜更け、道場主、桑島主水之助が現れるが、彼は突然、新吾に斬りかかって来る。
 何とか撃退して、夜を明かすと、再び、道場主が彼の前に現れる。
 しかし、昨夜とは打って変わった様子で、彼は自分の「呪われた宿命」について話し出す。
 彼の道場は、元は、片田舎ながら、数十名の門弟をようし、それなりに繁盛していた。
 だが、彼は、こんな片田舎でくすぶっていることに不満で、いつか、その名を天下に知らしめたいと望む。
 ある日、彼は散歩に出た際、行き倒れた僧侶に出会う。
 彼を介抱し、道場までおぶっていくが、その僧侶は「恐神」であった。
 恐神は自分を背負っている限り、彼の望みは叶うと囁くのだが…」

・「怪談ダイジェストその1 ろくろ首」(沢田竜治)

・いなば哲「血しぶき地蔵」
「ある雨の夜、二人の浪人が、京屋に押し入り、夫婦を斬殺し、千両箱を奪う。
 一人娘の千代は屋敷から逃げ出すが、浪人のうち一人は彼女を追いかけ、お地蔵さんに取りすがったところを情け容赦なく斬り殺す。
 それから、十三年後、片方の浪人はその金を元手に出世し、妻と娘にも恵まれ、幸せに暮らしていた。
 そこへ、相方が訪れる。
 相方の方は、うだつの上がらず、相変わらずの浪人暮らし。
 相方に過去の件で金を強請られ、主人公は金を借りる当てがあると相方と共に出かける。
 そして、例の地蔵のある川辺で、相方を殺そうとするのだが…」
 後に、「地蔵娘」(「怪奇談@」収録)のタイトルでリメイクされております。
 その際、結末が変更されております。

・「怪談ダイジェストその2 真説四谷怪談 お岩殺し」(いなば哲)

・曽根しげじ「怨霊吸血柳」
「ある寒村に、平五郎とお米、十歳の息子の平次が家族水入らずで暮らしていた。
 だが、平五郎が城の改修工事に参加した際、伐った原木の下敷きになり、片足に重傷を負う。
 片足が不自由になった彼は、部落の親方、駒造に仕事を頼むも、けんもほろろに断られる。
 妻のお米は駒造に借金をし、金の工面に奔走するも、返済の期限は容赦なく押し寄せる。
 仕方なく駒造に期限の延長をお願いしたところ、その代わりにと言い寄られ、抵抗したためにお米は絞め殺されてしまう。
 現場に落ちていた煙管から、平五郎は駒造の仕業と知り、仇を討とうとすが、親子共々、返り討ちにあう破目となる。
 しかし、平次は両親の幽霊によって命を助けられ、両親の亡骸を埋めた上に、柳の木を植えた後、村から姿を消す。
 それから十年、柳が大木に成長した頃、平次は、復讐のために、村に戻って来た…」
 「吸血柳」というので、アルジャーノン・ブラックウッドの名作「柳」(水木しげる先生の貸本作品で影響を受けたものあり)っぽいのかな?と思ったら、全く違いました。
 でも、よく描けています。(原作あるんでしょうか?)
 この単行本の中では、いなば哲先生の作品と並んで、出来がいいと思います。

・「怪談ダイジェストその3 牡丹燈篭」(いなば哲)

・白井豊「鋩(きっさき)」
「漂源忠国は、後輩でありながら、どんどん出世している丹波圭吾光枝を憎んでいた。
 彼は、忍者の閃平を使い、光枝が父親の墓参りに林鐘寺にいることを探り出す。
 口封じのため、閃平を殺した後、部下の豹吾に、名刀の念仏重忠で、光枝を殺しに向かわせる。
 しかし、光枝暗殺は失敗し、しかも、念仏重忠の鋩五寸が折れていた。
 この鋩から自分達の仕業であることがばれることを恐れ、忠国は、刀は閃平に盗まれたことにして、林鐘寺に閃平の死体を捨てるのだが…」

・「怪談ダイジェストその4 番町皿屋敷」(岩井しげお?)

・沢田竜治「地獄部屋」
「鬼頭村の呪老家は、先祖代々、気違いの血筋と言われていた。
 主人、呪老兵衛には妻の千代と息子の亡太郎がいたが、二人とも、精神薄弱者で、それぞれ、女中のおあさ、下男の作兵衛が介抱役としてつく。
 そして、この屋敷には、あかずの間があり、財宝があるとも、死人があるとも、噂されていた。
 ある日、下男の作兵衛が水死体で発見される。
 死体の首には絞めた痕があった。
 与力が呪老家の屋敷を訪れるが、犯人らしき者はいない。
 その夜、亡太郎が何者かに殺害される。
 だが、今度は、首の骨がぐしゃぐしゃに潰れていて、同一犯の仕業には思えない。
 「気違い屋敷」の「開かずの間」に潜むものとは…?」

・備考
 状態非常に悪し。ビニールカバー貼り付け。小口、前後の見開きに貸本店のスタンプ。pp7〜10(岩井作品)、落丁。pp115〜pp124、ノド中央に綴じの針金がとび出したための破れあり。

2020年5月5日 ページ作成・執筆

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