「怪談特集 鬼G」
(発行年月日不明/150円)
収録作品
・岩井しげお「百婆」
「裕福そうな若侍を襲い、その金を奪った過去を持つ五人の浪人。
彼らだけの秘密の会合の帰り、そのうちの一人が道端で物乞いをする老婆に呼び止められる。
聞けば、世話をしてもらえれば、一日一両差し上げるとのこと。
しかも、その金を産むと言う。
老婆を連れ帰った浪人は、実際に毎日一両もらい、羽振りがよくなるのだった。
しかし、それに目をつけた他の浪人が、老婆を奪おうとする… 」
・いなば哲「勘太しじみ」
「一千両を盗み出したものの、お縄になった悪党二人組。
機に乗じて、別々に牢から逃げ出した二人だが、隠した金を巡って、一人は殺されてしまう。
残った一人は、しじみ売りの少年から取り上げたカゴと竿で、金をしじみで隠して運ぼうとするが…」
・曽根しげじ「灰色の花道」
「貧しい暮らしに飽き飽きし、立身出世を夢見る青年武士。
殿に取り入り、姫の心を掴み、姫の婿の地位を手に入れる。
が、権力に溺れ、遊びに耽り、側女まで囲う始末。
腹に据えかねた姫と言い争ったはずみに、彼は姫を絞め殺してしまう。
姫の死体を崖から突き落とし、自殺に見せかけるが、姫の怨霊が彼を破滅に追いやるのだった…」
前作と違い、(恐らく、余裕がなくなったのでしょう)小島剛夕先生の真似はやめて、自分本来の絵になっております。
この絵がまあ、何と申しましょうか、決して上手くはありませんが(と言って、下手でもないんです)、丁寧に描かれておりまして、味わい深いように個人的には思います。
ストーリーに目新しさはないものの、この絵で今でも多少なりとも読み応えがあるのでないのでしょうか?(勝手な思い込みですが…。)
とりあえずは、扼殺された後、遺棄される、思いっきり寄り目の姫の画像を見て、片鱗でも「味」わって下さいませ。
・中平康三(注1)「日陰の命」
「殿の命により、罪のない舞子を死においやってしまった侍。
しかし、両親の呵責からか、舞子の扇子の柄であった蝶が、常に侍につきまとう。
あまりに怯える侍を、友人がショック療法と、蝶でいっぱいの蔵に閉じ込めるが…」
・巌太郎「幽霊館の鬼女」
「信州の奥地にある『死の谷』。
そこにある幽霊館を一人の侍が旅をする。
彼の目的は、そこに住む婚約者の由美を迎えに行くことだった。
どうにか幽霊館にたどり着いたものの、由美の兄は妹との結婚を頑なに拒む。
由美の兄の言う、幽霊館の呪いとは…」
菊地秀行・編「貸本怪談まんが傑作選」(立風書房)にて復刻された怪作。
エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」を無理矢理に時代劇にアレンジしたため、妙チクリンな描写だらけですが、それも味のうち。
ベッドに寝ている侍という描写は、私はこれしか知りません。
・注1
目次ページでは「中平康三」になっておりますが、マンガでは「中平廉三」になっております。
とりあえずは、ありそうな「康三」で載せております。「廉三」(れんぞう?)って名前はあるんでしょうか?
・備考
pp21・22、下部にテープ補修あり。pp27・28、pp159・160、下部にコマにかかる欠損あり。p2、p5、p180、下部にマジックによる、1〜2センチ程度の描きこみあり。その他、多々痛みあり。
平成26年7月29日、8月9日 執筆・ページ作成