いなば哲「半獣人間」(190円)

・「半獣人間」
「満月の夜の明け方。
 塾からの帰り、池田真一郎は、右手に鎌を持ち、顔が白髪で覆われた、裸足の老婆を目撃する。
 好奇心から、老婆の後をつけていくと、ある屋敷に入っていった。
 それを確認し、帰途に就いた時、老婆の歩いて来た方角に、バラバラ死体を発見する。
 怯えて帰宅したものの、先程の老婆が気になり、翌日、その屋敷を覗きに行く。
 その現場を、屋敷の老婆に見つけられた真一郎は、屋敷に連れ込まれる。
 屋敷には老婆と美しい娘、小夜(さよ)の二人が住んでいた。
 老婆は真一郎に二度と屋敷から出られないと言い、小夜の秘密を打ち明ける。
 小夜は半獣人間であり、夜になると、獣のような顔になり、血肉を求めてさまようのだと言う。
 老婆の話を鼻で笑う真一郎だが、好奇心も手伝い、夜遅くまで屋敷に居座ることとなる。
 夜更け、寝床から忽然と姿を消した小夜を探す新一郎の前に、顔が獣となった半獣人間が現れる。
 刀を抜こうにも、怪しげな術をかけられ、身体が全く動かない。
 半獣人間は真一郎に助かりたかったら、代わりに人間を屋敷に誘い込むように言う…」

・「流れ」
「凶悪な脱獄囚、小山伊佐五郎が、山中の一軒家に逃げ込む。
 そこには父親と若い娘が二人暮らしていた。
 役人をまいた後、伊佐五郎は娘と共に江戸に行こうとして、父親を斬殺。
 娘は逃げようとするもむなしく川辺で殺される。
 その手には母の形見のこけしが握られていた。
 そして、一か月後の江戸。
 再び追われる身となった伊佐五郎は舟を見つけ、江戸を脱出する。
 が、その舟の横を、あのこけしがどこまでも付いて流れていく…」

・備考
 ビニールカバー貼りつき、また、一度ビニールカバーを外して、張り直したようで、カバーに剥げ多々あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年2月20・21日 ページ作成・執筆

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