いなば哲「続・怪談三度笠」(200円/1964年頃?)

「あんかけの時次郎(作中では、アニヤンとしか呼ばれず)と、みのる(注1)の二人連れ。
 二人は空腹のあまり、失神しそうな侍に出会う。
 三人は、みのるの心当たりの食堂に向かうが、そこは寂れ放題の肉料理店であった。
 食堂は、お京という美しい娘と、見るからに偏屈そうな父親がおり、父親は材料がないために料理が作れないと主張する。
 娘は父親を説き伏せ、肉料理の材料を獲りに外出する。
 三人はひたすら料理の完成を待つが、空腹で苛々している侍は我慢できずに娘を探しに裏から出ていく。
 侍の様子を見に、みのるも裏から出て、便所らしき戸を開けると、そこは人間の首や手足がたくさん安置されている部屋であった。
 そこへ、娘が現れるが、手には血に塗れた包丁と、生肉の入った袋があった。
 みのるは時次郎のもとにすっ飛んで戻り、ことの次第を伝えるが、全く通じない。
 二人が言い争っているところに、お京がビーフカツを運んでくる…」

 「てなもんや三度笠」の人気に便乗して(恐らく、無断で)描かれた作品です。(注2)
 私は「てなもんや三度笠」を観たことは一度もないのですが、この作品では藤田まことと白木みのるの小気味よいやり取りが全編に渡って繰り広げられております。(テレビ番組からかなり「借用」しているのでしょうか? もしも、いなば哲先生が自分でここまで考え出したのなら、大したものです。やっぱり関西人だから?)
 ただ、白木みのるのキャラが時に小生意気で、個人的にだんだんムカついてきますが…。
 あと、作品には舟木一夫「高校三年生」なんかも出てます。
 懐かしいと感じる方もいるかもしれませんね。
 ちなみに、「チートモシラナカッタワー」って誰のギャグなんでしょうか?

・注1
 「てなもんや三度笠」での白木みのるの役名は「珍念」でありますが、この本では「みのる」と呼ばれております。
 みのるは坊主頭でなく、髪を生やしているので(妖奇七郎さんからご指摘をいただきました)、テレビ番組とは似て異なるものと主張しているのでありましょうか?
 中国人の「トゲつけたからガンダムとはちゃう」という言い訳並にキビシ〜。

・注2
 「続・怪談三度笠」なので、「怪談三度笠」もあるようですが、見たことがありません。
 どうも「人魚」が出てくる話のようです。(情報求ム!!)

・備考
 状態悪し。ビニールカバー貼り付け、また、背表紙のビニールカバーが外れ、そこのカバー痛み。釘で補強。裏の表紙に何かが刺され、p115まで穴。前後の見開きのノド、紙テープで補強。前後の見開きに落書き。pp1〜3、クレヨン(?)で落書き。pp123・124、落丁。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年3月24日 ページ作成・執筆

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