いなば哲「一文字・23 化身」(170円)



 収録作品

・いなば哲「化身」
「出世の妨げになるという理由で、黒田典膳の一味によって、皆殺しにされた社領一家。
 その死体は人通りのない、墓地裏の横穴に捨てておかれる。
 だが、穴に生息するコウモリは、社領系之介の息子、月之助の口にエサを運び続ける。
 十日ほど経ち、体力を回復した月之助の身体は、コウモリのように化身していた。
 この身体を活かし、月之助は黒田典膳への復讐に燃える…」

・沢田竜治「死神様参上」
「ある町で暗躍する殺し屋、死神様。
 この殺し屋は、殺しの後に「死神様」と書いた紙を残すため、そう呼ばれていた。
 奉行所の大川に呼ばれた、踊小太郎は「死神様」の正体を突き止めるよう指令を受ける。
 「死神様」を探すためには、まず依頼をするにはどうするかを考え、小太郎は違法な賭博場へ足を運ぶ。
 そこで黒田屋へ行くよう情報を得るが、黒田屋では小太郎をキチガイ扱いして追い返す。
 しかし、宿に帰ると、小太郎のもとに「死神様」から依頼の方法を書かれた手紙が届いていた。
 大川にこのことを報告した小太郎は「死神様」の正体を暴くために作戦を練る…」

・ふじはら利彦「俺がほんもの」
「真田幸村のもとに仕官すべく、伊賀から訪れた霧隠大助。
 しかし、昨日、同じ名の人物が仕官を望んで、やって来たと言う。
 更に、仕官を本当に求めているのではなく、別の目的がある様子だったとのこと。
 霧隠大助が自分の偽物に会うと、昼間から酔っ払って、刀を振り回す、乱暴者。
 また、偽物に父親を殺された姉弟に、霧隠大助は襲われ、偽物と対決する意思を固める。
 その偽物の真の目的とは…」

 このアンソロジーの中で、今読んでも面白いのは、いなば哲先生の「化身」だけでありましょう。
 また、「化身」という作品は、注目すべき内容を持っております。
 これ、日本版「バットマン」なのであります。(嘘だと思うなら、下の画像を参照してください。)

 う〜ん、まあ、「バットマン」と言えなくもないですが、より正確に形容すると、「怪奇!蝙蝠男」ですな。
 ちなみに、「吸血鬼ドラキュラ」の影響はありません。
 浮遊感を巧みに描写したアクション・シーンがあったりするのですが、どちらかと言うと、地味な印象です。

・備考
 ビニールカバー貼りつき。糸綴じあり。pp16・17、ページ同士が貼りついたための剥げあり。前後の遊び紙、貼りつき。

2016年10月4日 ページ作成・執筆

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