加納康雄・他「コミック闇の怪奇事件ファイル」(2013年8月26日初版発行)
収録作品
・加納康雄「巨人、襲来!―ヒトが消えた都市―」
「東京都S地区。
そこの小学校に通う神路という男児は同級生二人からいじめを受けていた。
彼は母親を悲しませるのがイヤで、いじめについては口を閉ざす。
ある夜、家の近所に隕石が落下する。
彼が現場に行くと、小さなクレーターができていた。
翌日も憂鬱な学校だが、いじめっ子二人が姿を消す。
そのことで担任に詰問されていると、天井から粘体のようなものが教師を包み込み、吸収する。
その物体は姿かたちは人間のようで、目と口があり、神路に笑いかける。
それは触手を伸ばし、人々を手当たり次第に呑み込み、巨大化していくが…」
・田中顕「アンノウン ―地下に潜むUMA―」
「T市北部、某農園内。
売れないライター、出版社の編集の木水、廃墟探検専門ライターの二人(柴崎、西木)が調査に訪れる。
依頼主は農園主の娘の佐川あさみで、農園内にある地下道でツチノコを見たと出版社に手紙を送っていた。
一行はマンホールを降り、地下道を進む。
途中から先は土嚢で塞いであったが、突然、あさみは人の名前を呼び、土嚢に取りすがる。
彼女を止めようとした途端、土嚢が崩れ、彼らは皆、十メートルぐらい下に転落する。
ケガはなかったものの、とても登る高さではない。
あさみはツチノコの話を嘘で、本当は七年前に行方不明になった弟を捜したかったと打ち明ける。
当時、彼女の両親は警察に連絡するも、やって来たのは迷彩服を着た自衛隊であった。
この話を聞き、柴崎はこのトンネルが旧軍の施設ではないかと考える。
二人をその場に残し、主人公のライター、柴崎、あさみの三人はトンネルの先に進む。
「第四火薬庫」の看板を掲げた扉があり、その先に潜むものとは…?」
・出口真人「龍神伝説 ―神々の怒り―」
「奈良県S町。
この町の湖には龍が棲み、凶事の際には龍が姿を現すと伝えられ、湖の近くのお社には龍を鎮める祭壇があった。
しかし、町の空き地に温泉が見つかったことから、お社のある土地に温泉施設建設が計画される。
これを強引に推進しようとするのは、新興ゼネコンの宝田建設社長、宝田剛太郎であった。
開発は進められるが、現場では事故が頻発。
町役場では中止を勧告するも、宝田社長は祭壇を破壊する。
すると、湖に異変が…」
・近藤和寿「巨大イカ ―クラーケンの恐怖―」
「神奈川県Y市の海水浴場に漂着した鯨の死体。
海洋学者の神保洋一はダイオウイカに襲われたと推測するが、誰も信じない。
彼は若い頃、調査に同行させていた息子の遊人が海で行方不明になって以来、どこかおかしくなったと言われていた。
だが、この近辺で巨大イカによる襲撃が相次ぎ…」
・Rickey「モスマン ―飛来する怪物―」
「十年前、静岡県k町に住む不良グループが町はずれの廃教会に行き、行方不明となる。
数日後、k町の住民も次々と姿を消し、今、町は地図にその名を残すのみであった。
ヤング出版取材班の山本修三(23歳)と市川結衣(24歳)はK町の廃教会を訪れる。
近くに老婆がおり、聞き込みをしようとするも、老婆は「ここら一帯は呪われておる…早く帰った方が身のためじゃ」と警告する。
老婆の話の中で、気になったのは「モスマン」という言葉。
直訳すると「蛾人間」だが、老婆によると「死神」だという。
気が付くと、老婆の姿はなく、とりあえず、二人は町の中に足を踏み入れる。
途中、修三が蛾の群れに襲われ、結衣は一人になってしまい…」
・加納康雄「森のヌシ ―大自然の魔爪―」
「北海道T郡M村。
近年、この村ではヒグマによる被害が深刻化していた。
ヒグマ退治のため、森に入った猟師達は誰一人として帰って来ず、今、モモカという少女が行方不明となる。
両親は捜索を訴えるも、夜更けに森に入るのは自殺行為でしかない。
だが、モモカの幼なじみのセンリはトウヤを連れて、モモカを捜しに行く。
センリはトウヤとモモカが森に入るのを目撃していた。
そこで二人が目にしたものとは…?」
・加納康雄「グングニル ―巨人兵器化計画―」
「ACT-1」(「ヤングキング」2011年第7号)
神山佑一は国立先端科学研究所(フロンティア)の所長をしている父親に憧れ、大学の研究室で研究に励んでいた。
しかし、父親が人体実験の首謀者として指名手配されたため、大学を辞め、以来、引きこもりの生活を送る。
父親は行方不明のままで、母親が彼の面倒を見ていたが、母親が病気で倒れ、彼は過去と決別する決心をする。
だが、彼の目の前に、異形の巨人が現れる。
巨人は何故か彼の名を呼んでいた…。
「ACT-2」(「ヤングキング」2011年第8号)
巨人から逃れ、佑一は大学の研究所に向かう。
その目的は猛毒のテトロドトキシンを手に入れることであった。
研究室で彼は元・恋人の西園アカリと再会する。
彼はアカリに逃げるよう言い、大学まで追ってきた巨人と対峙する…。
「ACT-3」(「ヤングキング」2011年第9号)
もう一匹現れた巨人。
巨人同士が戦っている間に、佑一はアカリに助けられ、車で逃げる。
車は病院に向かうかと思いきや、何故か林の中を進み…。
彼女の望む「償い」とは…?
「ACT-4」(「ヤングキング」2011年第10号)
目覚めると、佑一は生きていた。
不思議なことに、身体中の傷が癒えている。
彼はアカリが何か知っていると考え、彼女を捜しに町に向かう。
だが、町では何体もの巨人が人々を殺戮していた。
彼は東サキという娘を巨人から助け、安全な場所に匿おうとするのだが…。
「ACT-5」(「ヤングキング」2011年第11号)
佑一が目指すのは、父親が所長をしていた国立先端科学研究所。
ここの地下施設はテロ対策の一環として強固に作られていた。
職員の死体からIDカードを入手し、二人は地下への入口を目指す。
地下で佑一はアカリと再会するが、彼女のそばには最初に襲ってきた巨人がいた…。
「ACT-6」(「ヤングキング」2011年第12号)
南条という男が彼らの前に現れる。
明かされる巨人の正体…。
そして、「オーディン計画」とは…?
「ACT-7」(「ヤングキング」2011年第13号)
アカリの案内で、佑一は研究施設に向かう。
アカリの目的は「装置」の破壊だが、二人の前に巨人が現れる。
そして、南条も…。
巨大モンスターをテーマにした作品を集めた企画ものです。
出来不出来は横に置いて、やはり、巨大モンスターが人を殺しまくったり、都市を蹂躙しているだけで、それなりに面白いことを再確認いたしました。
どの作品も悪くなく、中でも、単行本の半分以上を占める加納康雄先生の作品はかなり力が入ってます。
もろに「進撃の巨人」の影響を受けた「グングニル」も収録されておりますが、7話までで、続きを読むには単行本全一巻にあたる必要があります。
と言っても、全八章なので、それなら完全収録してほしかったものですが…。(恐らくは、単行本の売り上げにつなげようとしたのでしょう。)
ちなみに、「巨大イカ」を描いた近藤和寿先生、絵柄に味があって好きです。(マッド・サイエンティストの顔のどアップ・シーンがステキ。)
2023年4月30日/5月13・14・31日 ページ作成・執筆