並木伸一郎・監修「実際にあったエクソシスト」(2006年9月25日初版発行)

・「プロローグ エクソシストとは」(作画/野口千里)
「ミステリー研究家・並木伸一郎が『エクソシスト』について解説する。
 エクソシストとは「キリスト教に置いて悪魔憑き(悪霊憑き)を祓う人」のことで、イタリアには現在(2006年)カトリック公認のエクソシストが約三百人存在し、実際に悪魔祓いの儀式を行っている。
 彼らは50〜65歳ぐらいで、エクソシストに選任される理由は度胸が据わっていて、感受性が鋭いといった条件があるが、中でも『信心深さ』という性質が最も重要視される。
 悪魔祓いの儀式はエクソシストと彼が選任した補助司祭(アシスタント)によって行われ、六段階に分けられる。
@悪魔憑きの人がいる部屋に奇妙な雰囲気が漂い、恐ろしい存在がそこにいることを確認する。
A悪魔はあたかもその人であるかのように振舞うが、エクソシストはその偽装を見破り、悪魔の名前を明らかにせねばならない。
B悪魔がとり憑いた人間とは別個の存在として出現。
C悪魔は人間とは思えないような奇妙な声を発し始めるが、エクソシストはその妨害に負けず、悪魔の正体を暴かなければならない。
D表面に引きずり出された悪魔とエクソシストの一対一の意志と意志の対決。
E悪魔祓い完了

・「第1話 笑う女」(作画/二ツ木哲郎)
「1964年、ニューヨーク。
 アイリーンは奇矯な行動で、人々から「笑う女(スマイラー)」と呼ばれていた。
 弟のセドリックが姉と会うと、彼女は「無」と結婚し、「裸の光」を得て、「道徳的善悪や他人の目に縛られることをやめた」と話す。
 また、彼女は「あの人」に「王国の住人達」を探すよう言われていた。
 アイリーンの母親は彼女が悪魔にさらわれたと主張しており、セドリックは彼女のベッドに十字架を潜ませる。
 すると、そこに座ったアイリーンは絶叫を上げ、口から泡を吹く。
 翌年、彼女はマンハッタンの実家に戻されるが、彼女の奇怪な行動は収まらず、セドリックは教会に相談する。
 エディ神父はまずは精神科医に彼女を診せると、心理学的には正常との回答を得て、悪魔祓いを決意する…」

・「ウォーレン夫妻の事件簿1 殺意の家」(作画/ミセキカズナ)
「ニューヨーク州アミティヴィル・オーシャン通りにある『悪魔の棲む家』。
 そこに心霊研究家のウォーレン夫妻が泊まり込みの調査をする。
 一か月に及ぶ調査の間に起きた出来事とは…?」

・「第2話 奇妙な表情」(作画/瀬芹つくね)
「リチャードはラジオ局のDJ。
 彼は昔から両親や友人達の顔に現れる「奇妙な表情」に悩まされていた。
 両親に捨てられ、ずっと一人だった彼は「アンクル」という悪魔と知り合う。
 アンクルはたまに姿を現わし、彼の孤独を癒してくれたが、遂には四六時中つきまとうようになる。
 彼が自殺に追い込まれようとした時、彼は「JESUS」の名を唱えることにより窮地を脱する。
 知り合いのマクレガー神父は彼に悪魔祓いを施すが、まずはアンクルを操る親玉をおびき出さねばならない。
 そして、リチャードの目に映る『奇妙な表情の顔』の正体は…?」

・「ウォーレン夫妻の事件簿2 パティの友達」(作画/史都玲沙)
「ドノヴァン家の長女、パティはウィジャ盤に現れる霊の友人に夢中になる。
 その霊の友人が現われなくなった頃、彼女の家では何ものかによる破壊活動が起き始め、次第に激しさを増していく。
 更に、謎の衝撃と壁を引っ掻くような音が続くようになり、夜、安心して眠れなくなる。
 一か月後にはポルターガイスト現象が起こるようになり、ドノヴァン家の人々は家から立ち去るも、怪奇現象は行く先でも続き、結局、家に戻るしかなかった。
 ドノヴァン家の主人、テッドは空港でウォーレン夫妻に助けてくれるよう懇願。
 ウォーレン夫妻がドノヴァン家を訪れると、確かに悪霊の気配がする。
 そこで、夫妻は悪魔学を研究している青年神父、ジェイソンを呼び寄せる…」

・「第3話 フィクサー」(作画/水木繁)
「アルマは性転換者。
 彼女は元はアランという男性で、幼い頃から女性の身体になりたいという願望を抱いていた。
 17歳の頃、彼は両性具有に憧れるようになり、男性として女性の姿の自分と愛し合うことを夢想するようになる。
 彼は性転換により女性となり、心が女性らしくなったことや男性が彼女に神秘を見出すことに満足しながらも、「恋をした」という実感が持てず、失望する。
 そのうちに彼女は精神を病み、悪魔が彼女の心の隙間に入り込む。
 バーナード神父は悪魔祓いに試みるも、大けがを負わされ、もって数か月の命となる。
 それでも、神父は再度悪魔に戦いを挑む…」

・「ウォーレン夫妻の事件簿3 呪われた人形」(作画/寝猫)
「看護士のドナとアンジーはルームメイト。
 ドナは25歳の誕生日に西洋人形を贈られるが、この人形に奇怪なことが起きる。
 彼女たちの留守中に人形のポーズが変わっているのであった。
 二人が友人のルウを呼ぶと、人形は紙切れを持っており、それには血で「HELP US HELP LOU」と書かれてあった。
 真相を明らかにすべく、霊媒師を呼ぶと、人形には七歳で死んだ女の子、アンナベルの幽霊がとり憑いていると告げる。
 アンナベルは人形の中にいていいかと尋ね、ドナとアンジーはずっといていいと答える。
 ルウはこの人形は気味悪いと猛反対し、ある夜、人形のいる部屋で何ものかに襲われる。
 三人は神父に相談し、ウォーレン夫妻は悪魔祓いの依頼を受けることとなるが、その時には事態は恐ろしく深刻なものになっていた…」

 エクソシスト関連の話とエドワード&ロレイン・ウォーレン夫妻の話が三話ずつ収録されております。
 真偽のほどはさっぱりわかりませんが、まあ、オカルト的な知識を得るには役に立ちます。
 ただし、エクソシストについて概要を知りたければ、ウィリアム・フリードキン監督「エクソシスト」を観た方が手っ取り早いとは思います。(「悪魔の棲む家」は特に観る必要はありません。)
 ちなみに、性同一性障害者が悪魔に憑かれる「フィクサー」は毛色の変わった内容で、個人的にはかなり読みごたえがありました。

2024年2月28日〜3月1日 ページ作成・執筆

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