高港基資・他「恐怖体験 ウシロノショウメン……」(2014年9月8日初版発行)

 収録作品

・高港基資「顔」
「野不見伊織はパン屋でバイトをする若い女性。
 ある日、彼女は車で出勤する途中、カーブミラーに女性の姿を見たように思う。
 以来、彼女は何者かの視線を感じるようになり、夜には悪夢を見る。
 夢の中では、恐ろしく奇怪な顔の少女がいじめられ、次のシーンでは、伊織は鏡台の前に立っている。
 鏡の中には成人した少女がおり、鏡の表面に「830」を指で書き、「かわいい顔ね……その顔ちょうだい」と言うのであった。
 「830」は恐らく8月30日のことで、その日まで残りあと僅か。
 伊織はその夢についてブログで書いていたが、加瀬という男性から返信が来る。
 彼の書き込みによると、悠希という女性が伊織と同じ夢を見ていた。
 8月27日、伊織は加瀬と会い、恐るべき事実を知る…」

・「白い人」
「巧は幼い頃から「白い人」を視ることができた。
 「白い人」は空から垂れ下がるロープを伝って降りてきて、屋根から人の家に入り込む。
 父親は巧の話から子供の空想では済まされない何かを感じる。
 日曜日、父親は巧を連れて、町に出て、「白い人」が降りている家を探しだす。
 数日後、父親がその家の前に行くと…」

・高港基資「床の下」
「ヘルパーの青年は、伊藤ハツという老婆を受け持っていた。
 伊藤ハツは古い家に一人暮らしで、軽度の認知症らしい。
 青年が彼女の家を訪れて帰る時、必ず頼まれることがあった。
 それは床下収納庫の蓋の上に土嚢を積みなおすこと。
 彼が来るたびに、何故か土嚢は崩れている。
 ある日、彼がハツの家に行くと、彼女は身体のあちこちに打ち身ができ、しかも、床下収納庫の周りには土嚢が散乱していた。
 ハツは昨晩は「出てくる寸前までいった」と話すが、床の下に潜むものとは…?」

・高港基資「兵士」
「今井はテレビの番組制作会社で音響を担当している男性。
 ある日、彼はある鉄道の線路の音を録音する。
 それは、春のドラマの「男の子がレールに耳をくっつけて遠くから伝わってくる汽車の音をきくシーン」に使われる音であった。
 だが、その音にぶつぶつと呟く男の声が入っている。
 以来、今井は戦前の日本兵が上官や仲間達に凄惨ないじめを受ける夢を見るようになる。
 更に、ドラマ撮影は様々なトラブルに見舞われ、結局、打ち切りとなる。
 ある時、今井が会社で仕事をしていると、モニターに砲弾庫が映っていた。
 人物の影らしきものが見え、今井が音声のボリュームを上げると…」

・高港基資「記念写真」
「観光地で記念写真のカメラマンをしている青年。
 ある時、彼は集合写真を撮る際に、霊の存在に気づく。
 面白がって写真を撮るも、その時、彼は女性の霊と目があい、以来、とり憑かれてしまう。
 彼はもう一度、女の霊と目を合わせたら危険と感じ、女の霊が話しかけてくるのを無視して、知らないふりを続ける。
 そうして、一年経った頃…」

・油豆「守護」
「東京住まいの薫のマンションに地元の友人のハルカが訪ねて来る。
 ハルカは薫にお土産を渡すが、それは可愛いお守り袋で、「有名な所」のものという。
 しばらく経った後、薫は体調を崩し、彼女は見知らぬ親子の幻を視るようになる。
 気のせいだと思うも、体調はどんどん悪化し、親子の幻はより頻繁に現れる。
 ハルカは薫を励ましてくれるのだが…」

・坂元輝弥「視線の先」
「実家の老犬、ゲン(15歳)が死んだとの連絡を受け、明彦は実家に帰る。
 母はペットの「訪問火葬」を頼み、条例の絡みで、ゲンの遺骸は市境で焼いたと話す。
 奥の部屋にはケンの遺影と骨壺が置かれてあり、その前にはゲンと仲の良かったクロが座っていた。
 クロは食事の時以外、ゲンの骨壺の前から動こうとはしない。
 東京に帰る前の晩、明彦はクロの顔を覗き込む。
 悲しい顔をしているかと思いきや、クロは骨壺に向かい、歯を剥き唸り声を立てていた。
 クロが見ていたものとは…?」

・油豆「盛塩」
「あるファミリーレストランでは盛塩を欠かさなかった。
 と言うのも、近くに心霊スポットがあり、そこを訪れた連中がよく利用するからであった。
 この店では心霊現象は起きなかったものの、その手の客が訪れた後は、盛り塩が黒く変色する。
 店長は変色した塩を容器にまとめて、お祓いもせずに、心霊スポットに捨てていた。
 ある日、店員の皆元は店長と共に捨てに行くのに付き合う。
 心霊スポットは若い女性が変質者に焼き殺された廃墟で…」

2023年4月21日 ページ作成・執筆

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