楳図かずお「MOTHER 〜楳図かずお母″セレクション〜」(2014年10月1日発行)
・映画「MOTHER」ストーリー
・楳図かずおが語る「MOTHER」(構成・文/輔老心)
・「ママがこわい」(1965年「少女フレンド」32〜36号)
「弓子の母親が長い病院生活を終え、家に帰ってくる。
だが、母親の正体は、精神科病棟に監禁されていたヘビ女であった。
弓子はこのことを父親や祖母に主張するが、誰も信じてはくれない。
一方のヘビ女は弓子を食べる機会を窺い続ける…」
・「秀才」(「おろち」)
「立花優は、優秀な父親と美しい母親の間に産まれた、待望の男の子。
両親は優に愛情をいっぱい注いでいたが、一歳の誕生日に悲劇が起こる。
立花家に強盗が入り、優は首を刃物で刺されたのであった。
命はとりとめたものの、首筋には醜い傷痕が残り、子供達は彼を気味悪がる。
更に、母親は彼に外で遊ぶことは許さず、家で勉強を強要。
一方の父親はすっかり自堕落になり、母親と優のことは放置する。
優は小学校に上がった後も、勉強だけはできるが、社交性に欠けた子供になっていく。
だが、小学五年の時、社会の宿題のために、図書室で十年前の新聞を調べていると、立花家の強盗事件の記事を目にする。
以来、彼は、母親に言われなくとも、自主的に勉強するようになる。
彼はひたすら父親が卒業したK大への入学を目指すのだが、彼の真意とは…?」
・角田光代「母という現実」
・「手」(「猫目小僧」)
「たくみは、自分の部屋の床にどこからか石ころが現れ、それが火を噴くのを目にする。
慌てて、母親を呼んだ時には、石は消えており、母親はたくみの言う事を信じてはくれない。
彼も気のせいだと考えるが、家で留守番をしていた時、再び石が部屋に現れる。
瞬く間に、部屋は石で埋め尽くされ、そこに地獄の風景が現れる。
彼が苦悶する亡者と炎の中を逃げまどっていると、崖っぷちに彼の母親がしがみついている。
彼女が落ちる寸前、彼は母の右手を掴む。
気が付くと、彼は自分の部屋におり、右手は固く握られていた。
以来、彼は決して右手を開こうとはしない。
夏休み、母親は彼を田舎に連れて行くのだが…」
・「母の日のプレゼント」(「まことちゃん」)
「沢田まことと姉の美香が、育ててくれた感謝の意を込めて、母の日に出し物をすると宣言。
感激した母親はご近所さん達に触れ回って、当日、沢田家に大勢の人が詰めかける。
だが、美香が考えていた出し物は非常にオゲレツな内容であった。
引っ込みがつかず、二人は出し物を敢行するが…」
・「800回目のお彼岸」
「帰宅途中の地下鉄で、まもるは死んだ祖父に出会う。
祖父は、今度のお彼岸は800回目だから、死んだ人は皆、家に帰る」と話す。
まもるはこのことを両親に話すが、「800回目のお彼岸」なんて誰も知らない。
とりあえず、一週間後のお彼岸、一家は準備をして、亡くなった祖父母を待つ。
午前零時、墓場からは次々と亡者が現れ、まもるの家を祖父母が訪れる。
一家は祖父母の霊を手厚くもてなすが、線香が尽きた時…」
楳図かずお先生の初監督作品「MOTHER」(未見/主演は片岡愛之助さん)の公開に合わせて、「母」をテーマにした作品を集めたコンビニ本です。
この中での目玉は、あまり知名度のない「800回目のお彼岸」。
ご先祖様が帰ってくる、ハート・ウォーミングな話かと思いきや、めちゃくちゃアナーキーな内容で、ひっくり返ります。(注1)
・注1
同じようなテーマで、また、破天荒な短編、ロバート・R・マキャモン「幽霊世界」(新潮文庫)を誰か、漫画化してみませんか?
あの手のもの、バカバカしくて、私、好きなんです。
2020年11月3・5日 ページ作成・執筆