呪みちる「七色の脳みそ/頁の中の魔物」(2014年6月頃発行)
収録作品
・「七色の脳みそ」(2005年「月刊一番残酷なまんがグリム童話6月号」(ぶんか社)掲載)
「君江は、自然食品のスーパーで、幼なじみの浅野文代と偶然、再会する。
二人は小学生の頃、仲良しであった。
文代は、母親の影響で、食べ物に関して、異常に神経質であり、農薬や添加物を加えたものは一切摂らず、特に、菓子をひどく憎んでいた。
二人は高校進学を機に別れ、文代はその後について語る。
彼女は、母親と同じ考えを持つ、私立の高校に入るが、あれほど、食べ物にやかましかった母親が交通事故であっさり死亡。
人生の空しさを思い、今まで母親に禁じられていた、お菓子を彼女が口にした時…」
一部、君江と文代を取り違えている部分があるように思うのですが、私の勘違いでしょうか?
・「頁の中の魔物」(2003年「恐怖の快楽7月号」(ぶんか社)掲載)
「ある大学で旧図書館の蔵書の整理が行われる。
職員の山本は、蔵書の中から、万谷三十郎「魔訶蘇明變生目々(まかそうみょうへんじょうもくもく)」という本を発見する。
この本は、総二千ページ、5500万文字に及ぶ大書で、ページは小さな字でぎっしりと埋め尽くされていた。
内容も、大正末期、架空の年、大関東府で、盲目で異形の怪探偵、多々良野郎が、帝都を揺るがす連続猟奇事件を解決していくという、エロ・グロ極まるものであった。
最初は読むと、吐き気に襲われたものの、山本は、この本に魅せられ、仕事の後、読みふけるようになる。
読んでる間、彼女は不思議な陶酔感に包まれるのであった。
この本の秘密とは…?」
呪みちる先生はあとがきで「ミステリーとして形を整えるべきだった」と悔やんでおりますが、私は傑作だと思います。
短編ですので、「ワンアイディアだけで押し切」るのも、ありではないでしょうか?
いやはや、まさかそう来るなんて、呪みちる先生の奇想が冴えまくっております。
ちなみに、多々良野郎の造形は「マタンゴ」?それとも、「エレファント・マン」?
「顔のない眼」もちょこっと出てきたのが嬉しかったです。(私は、こういうつまらない詮索をするのが好きなネクラな野郎です。)
2018年11月4日 ページ作成・執筆