飯島市朗「ブラックパンチ全集・中巻 植物人間誕生」(2019年5月1日初版発行)

 収録作品

・「仇を斬る」(「ブラックパンチ」1971年1月号掲載)
「任侠風の男。
 彼は、三十年前に殺された両親の仇を取るために、二人の男を斬殺する。
 その後、彼は警察署に自首するのだが…」

・「地獄への道」(「ブラックパンチ」1971年2月号掲載)
「暗黒街の殺し屋、ウーマン・ウルフ(武器は日本刀)。
 彼女は、父親と伯父に犯された過去があり、男を憎悪していた。
 ある時、彼女は密輸品業者から殺しを頼まれる。
 ターゲットは九鬼誠で、彼には腕の立つ殺し屋がついているという。
 ウーマン・ウルフが彼に会いに行くと、若い娘と抱き合っている最中であった。
 彼女は彼の殺害に成功するのだが…」

・「独房」(「ブラックパンチ」1971年3月号掲載)
「ある男。
 彼は、死刑になりたいために、レストランで給仕を殺害し、その後、バーでバーテンダーに暴力を振るう。
 バーを出た後は、通りすがりの警察官を射殺。
 タクシーで帰宅した彼は妻を抱き、ひと時の安らぎを得る。
 その夜、彼の家の庭に来訪者があるが…」

・「植物人間誕生」(「ブラックパンチ」1971年4月号掲載)
「ある木の根元で、赤ん坊が石で頭を割られて死んでいるのが発見される。
 犯行時刻は午前三時頃で、若い母親が赤ん坊を産んだ後に、石で殴り殺し、死体を遺棄したと思われた。
 だが、同じような死体が同じ場所で三晩続けて発見される。
 担当した刑事は夜、現場に張り込む。
 すると、若い男が現れ、木の近くで何かをし始めるのだが…」

・「屍に還えった生霊」(「ブラックパンチ」1971年5月号掲載)
「SF作家の赤木は、精神心理学者である鬼雲誠に協力を依頼し、生霊の撮影に成功する。
 だが、鬼雲誠の生霊は肉体に戻らず、他人の脳内に入っては、その人物を狂わせ、悲惨な事件を引き起こしていく。
 一方で、その身体は日文大学医学部に運ばれ、死亡が確認される。
 赤木は、生霊が戻るまで、死体を安置するよう依頼するのだが…」

・「死美人をかくす男」(「ブラックパンチ」1971年6月号掲載)
「梅田富次夫は浮気な妻の首を鎌で切断して殺害する。
 死体の始末に困った彼は、村の知恵遅れの男に目を付ける。
 彼は、去年、母親が男と一緒に東京に逃げてから、墓場に埋葬された女の死体を掘り出しては、自分の母親だと思い込んでいた。
 ある夜、彼は墓場に妻の死体を埋めるが、目撃者がいたため、警察から聴取を受ける。
 しかし、埋めた場所からは棺桶は出るが、死体がない。
 知恵遅れの男は警察に問いただされるのだが…」

・「性的人間」(「ブラックパンチ」1971年8月号掲載)
「ウーマンリブ革命が起こって五年。
 女性内閣が誕生し、日本は女性王国となったことで、男という生き物が如何に弱いかが明らかとなり、女性達は欲求不満。
 そこで、新男性研究所では、女性にとって理想的な男性を創り出そうとするのだが…」

・「怪少女」(「ブラックパンチ」1971年10月号掲載)
「地方の三流大学の生物学教授である男。
 彼が裏山を散歩している時、知恵遅れの少女と出会う。
 彼女は一枝という名の小学六年生で、初潮を迎えたばかりであった。
 一枝は彼に家に来るたびに、五つ首の蛙や、翼のある蛇を持ってくる。
 次の日、彼女は「めずらしいお客さま」を連れてくると言うのだが…」

 バラエティー豊かな(けど、クセの強さは相変わらずな)作品が揃っておりますが、個人的な好みで言うと、ダントツで「屍に還えった生霊」です。
 「岩浪成芳」と「黒田みのる」を足して、とことんまで煮詰めた後の煮凝りのような感じで、胸焼け必至の仕上がり。
 怪作「性的人間」は女性の方に感想を聞いてみたいものです。

2023年1月12日・2月23日 ページ作成・執筆

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