三田京子「緑の月に怯える乙女/狂い化粧の美少年」(2020年8月15日発行)
収録作品
・「緑の月に怯える乙女」
「香菜子は、都会の喧騒や勉強にうんざりしている女子高生。
ある日、彼女は、公園の噴水に備えつけられている、乙女の彫像を眺め、永遠の美をたたえた彫像に憧れる。
すると、彫像の背後から青年が彼女を覗き見る。
香菜子は彫像の後ろに回るが、そこには誰もいない。
目の錯覚と思い、彼女が再び彫刻に想いを巡らすと、意識が遠のき、いつしか彼女は彫刻へと変化していた。
しかし、いざ彫刻の身になると、憧れていたような良いことはなく、つらく苦しいことばかり。
彼女は、自由になって「ロマンチックに豪華に遊び暮らしてみたい」と願うと、今度は、異国のプリンセス(?)になっていた。
楽園のような世界で三日過ごすものの、彼女は一人ぼっち。
寂しさのあまり、満月に、彫像で見た青年の面影を思い浮かべると、空から彼が白馬に乗って、舞い降りてくる。
青年によると、この素晴らしい世界にも悪人がいるらしく、二人は昔の日本へと飛ぶ。
そこでは、香菜子は香菜姫で、青年は、お小姓の花影京弥になっていた。
結婚させられそうになった香菜子は、青年のもとに駆け寄るが、蝶(?)の扮装をした怪女が立ちふさがる。
蝶女の正体は…?
そして、願い事が何でも叶う、この世界は一体どこなのだろうか…?」
・「狂い化粧の美少年」
毎度、腰がすっこ抜けるような作品を復刻している「怪奇貸本奇談シリーズ」。
今回は、故・三田京子先生による稀代の怪作「緑の月に怯える乙女」と「狂い化粧の美少年」のカップリングです。
「緑の月に怯える乙女」は軽く五万円以上はしますので、これでようやく読めましたが、イッちゃってます。
ここまで「トリッピ―」な作品は(貸本漫画では)ないのではないでしょうか?
現実に足がついてないストーリーを、斬新すぎるファッション・センスがますます混乱させて、読者はただただ眩惑させられるばかりです。
興味を持たれた方は、絶版になってからでは遅いので、在庫があるうちに、入手をお勧めいたします。
なお、付録ペーパーに、緑の五寸釘氏の解説が掲載されております。
2021年1月13日 ページ作成・執筆