はざまもり「霊界倶楽部」(1991年6月16日第1刷発行)

 収録作品

・「霊界倶楽部」(「AmiJour」1991年5月号掲載)
「神津葵は、玉城陽一郎からプロポーズを受ける。
 だが、二人ともフリーターで、葵は陽一郎がちゃんとした仕事に就いたら、考えてもいいと答える。
 その夜、葵は取りに行った漫画原稿を暴走自動車のせいでダメにしてしまい、出版社を首になる。
 彼女は友人がバイトの引継ぎを探していたことを思い出し、友人に電話をかける。
 そのバイトは、南部大学の民俗学教授、暮林の資料室の整理分類であった。
 暮林教授はイケメンだが、堅物の変わり者。
 彼女が初めて教授と会った時、彼はそこに二人いたように対応する。
 また、彼女も資料室で他に誰かいるような気配を感じる。
 午後、彼女に友達から電話がかかってきて、昨夜、陽一郎が轢き逃げにあって死亡したと知らされる。
 葵が彼の家に行くと、そこは意外にも豪邸であった。
 葬式は済み、親戚一同は火葬場に行っていたため、葵は一人、彼の遺影に線香をあげる。
 その際、陽一郎は祖父の後を継いで、社長になろうとしていたらしいと耳にする。
 翌日、暮林教授にこのことを話すと、教授は、昨日、彼女の近くに陽一郎の霊がいたと教える。
 どうも、彼はこの世に念を残しているようなのだが…」

・「悲しい白い影」(「ミステリーJour」1990年8月19日号掲載)
「愛美が幼い頃、父親は、友人の鷲尾に会社を乗っ取られ、自殺し、母子は邸から追い出される。
 母親は水商売で愛美を養うが、無理がたたり、遂には覚醒剤中毒となる。
 中学生の愛美は金を得ようとするも、男に騙され、レイプされただけでなく、帰宅した時には、母親が死亡していた。
 愛美は、今は鷲尾一家のものである邸の門前に立ち、鷲尾への復讐を決意する。
 そして、時は流れ、愛美は今を時めく女優の西崎綾香へと変身を遂げていた。
 彼女は、鷲尾の会社の化粧品部門のイメージガールに選ばれ、鷲尾の邸にやって来る。
 鷲尾の一家は社長とその妻、長男の宗一郎と長女の里沙。
 綾香はまず、化粧品部門の宗一郎にターゲットを定める。
 そして、次々と復讐を果たしていくが、宗一郎の「あたたかさ」に心が鈍るようになり…」

・「同窓会」(「ミステリーJour」1989年9月19日号掲載)
「須藤まゆみのもとに同窓会の案内状が届く。
 会場は信州の別荘ということだったが、実際はもの凄い山の中の年代物の洋館であった。
 そこで、まゆみは、高校卒業から六年ぶりに仲良しグループと再会する。
(メンバーは以下の通り。
 涼〜まゆみの昔の恋人。玲子、久美子とも関係あり。
 牧田〜昔は涼の子分だったが、一緒に入った会社で立場逆転をして、威張ってる。
 磯貝〜小説家。
 玲子〜涼の元・恋人。強気。
 久美子〜涼に想いを寄せていた。気弱。)
 ところが、招待状の差出人は皆、バラバラで、だれが招待者なのかわからない。
 とりあえず、中に入って、思い思いに過ごすが、第一の殺人が起きる。
 逃げようにも、吊り橋のロープが切られ、更に、雨が降り出す。
 そんな中、第二の殺人が起きる。
 彼らには、同じ仲良しグループだった麻子の苦い思い出があった。
 これは麻子の復讐なのであろうか…?」

2022年5月16日 ページ作成・執筆

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