合田蛍冬・画/八頭道尾・原作
「ドクムシ@」(2013年10月28日第一刷発行)
「ドクムシA」(2014年5月20日第一刷発行)
「ドクムシB」(2014年11月22日第一刷発行)
「ドクムシC」(2015年6月23日第一刷発行)
「ドクムシD」(2016年2月12日第一刷発行)
「ドクムシE」(2016年9月23日第一刷発行)



・単行本@
「目を覚ますと、七人の男女が廃校らしき場所に閉じ込められていた。
(七人の男女は以下の通り。
 杉浦怜司(20歳)〜本作の主人公。大学生。彼はマリという娘を捜しているようなのだが…。
 仲野内俊夫(22歳)〜工場勤務。非常に粗暴でキレやすい。
 伊坂幸寿(28歳)〜サラリーマン。オカルト・マニア。妙に冷静なのだが…。
 乃木崎太一(24歳)〜無職の引きこもり。ペドフィリアの気があり。
 小宮灯(コミヤ・アカリ/21歳)〜キャバ嬢。男を手玉に取るのが上手い。
 秋山優美(21歳)〜ミッション系女子大生。清楚な外見だが、意外な性癖あり。
 岡澤三千子〜9歳の少女。)
 この場所は三階建てで、各階に教室が三つとトイレと階段がある。
 出入り口は全て封鎖され、窓は金属板で塞がれていた。
 トイレの水道から水は出るが、食料となるものは一切ない。
 いろんなところに監視カメラがついており、一階の1年3組の教室にはタイマー表示があった。
 タイマー表示には七日分の時間が表示されており、どうやらここにタイマーが切れるまで監禁されるらしい。
 また、3年1組の教室には床にビニールシートが張られ、中央には土鍋と床に鎖でつながれた肉切り包丁があった。
 校内を一回りした後、幸寿は自分の考えを述べる。
 彼らを閉じ込めた監視者は自分達が殺し合いをして、「人食い」を期待しているのではないか?
 更に、自分達の状況は「蠱毒」ではないのかと…。
 「蠱毒」とは様々な毒虫を壺の中に入れ、最後に生き残った一匹を使う呪術であった。
 この考えに皆、互いに疑心暗鬼となる。
 中でも仲野内俊夫は一番体格がよい分、第一の標的になると恐れ、単独行動を取る。
 しかし、彼を心配して来た秋山優美をレイプしたことから…」

・単行本A
「小宮灯は予想外の展開に慄き、ターゲットを杉浦怜司に移す。
 その目的とは「食料ゲット」であった。
 しかし、それを知った秋山優美は怜司に嫉妬し、憎悪の炎を燃やす。
 彼女から執拗につけ狙われ、怜司は3年1組の教室に立てこもり、包丁で武装するのだが…」

・単行本B
「小宮灯を巡り、杉浦怜司と伊坂幸寿は争いになる。
 幸寿はあくまでも冷静で、ひたすらに怜司の憎悪を煽る。
 遂にキレた彼は幸寿を階段から突き落とし、灯と共に、幸寿をトイレの個室に拘束する。
 その後、怜司は灯と抱き合うのだが…。
 一方、乃木崎太一は空腹を満たした後、欲情の赴くままに、岡崎三千子のもとに向かう。
 太一は三千子に好きになってくれるようひれ伏して懇願。
 彼女が彼のお嫁さんになる代わりに、望んだものとは…?」

・単行本C
「小宮灯の前で、岡澤三千子はその本性を現す。
 灯は三千子を殺そうとするが、返り討ちにあう。
 伊坂幸寿はこの状況を楽しみ、他人への同情など持ち合わせていなかったが、自分が灯に惹かれていることに気付き、愕然とする。
 彼は三千子を捕まえ、灯を助ける方法を知ろうとするのだが…」

・単行本D
「杉浦怜司は岡崎三千子を伊坂幸寿から守ろうと決意する。
 だが、彼女から予想外の要求を突き付けられ、怜司は拒否。
 傷心の三千子は彼のもとから去るが、彼女は幸寿にさらわれる。
 怜司は、三千子を助けるため、3年1組の教室で幸寿と一騎打ちをすることとなる。
 勝つのはどちらか…?
 そして、タイマーの表示はゼロになり、悪夢の七日間が終わりを告げる。
 しかし…」

・単行本E
「杉浦怜司は最後の最後まで自分の罪から逃げようとする。
 彼の両親は教育熱心であったが、彼はさほど頭のよい人間ではなかった。
 彼のせいで家庭は崩壊し、彼は無気力を抱えながら、二流大学に進学し、一人暮らしを始める。
 大学に入ってからも相変わらず自堕落に過ごしていたが、ある夜の飲み会で彼は小林麻理という娘と出会う。
 彼女の父親は刑事の鎌田美晴で、何やら家庭に事情を抱えているようであった。
 彼女は何故か怜司に好意を持ち、飲み会の帰り道、彼は彼女をラブホテルで抱く。
 以来、彼女は彼の部屋を足しげく訪れ、こまめに世話を焼くようになる。
 彼は彼女を鬱陶しく思いつつも、ダメな自分を受け入れてくれるのは彼女しかいない。
 そんなある日、彼女が妊娠していることが判明する。
 彼女はこれで幸せになれると大喜びするが、彼は彼女に堕ろすよう頼む。
 だが、彼女にその気はなく、怜司は強行的な手段に訴えるのだが…。
 そして、今、この場で真相が三千子によって語られる。
 最後に生き残るのは…?
 蠱毒は完成するのだろうか…?」

 八頭道尾氏のWEB小説「コドク〜蠱毒〜」(後に「ドクムシ」と改題)を合田蛍冬先生がコミカライズした作品です。
 単行本には「電子コミック描きおろし」としか書いておりませんが、wikipediaによると、「E・エブリスタ」(DeNA・NTTドコモ)に連載されたとのことです。
 実写映画化もされ、その際「R15+」指定になっておりましたが、漫画版も凄まじいエログロ描写の嵐です。
 トラウマ度は非常に高く、成人指定になってもおかしくないレベルです、コレ…。
 と言っても、それだけが売りなわけでなく、原作がしっかりしているので、異色のサバイバル・ホラーとしても非常に面白いです。
 また、三年の時間をかけて連載されているので、作画は非常に丁寧で、そこも評価できるポイントです。
 原作にはまだあたっていないので、ちゃんとした評価はできないのですが、コミカライズ作品としてはかなりの良作ではないでしょうか?
 ただ引っかかるのは、登場人物たちは皆、こういう目にあっても、おかしくない連中であるものの、中には情状酌量の余地のある人物もいるので、そこがスッキリしないなあ…。
 あと、最後の一ページにモヤモヤ…。

2023年10月20・21・23・25日 ページ作成・執筆

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