はざまもり「闇の招待状」(1993年6月17日第1刷発行)

 収録作品

・「闇の招待状」
「とりかえっこ」(「AmiJour」1992年10月号掲載)
 藤谷貴美子は、ふった彼氏を見返そうと、整形手術を受ける。
 術後、鏡を見ると、もの凄い美人になっていたが、以前の面影は全くなくなっていた。
 とりあえず、家に戻ると、もう一人、藤谷貴美子がおり、家に入れてもらえない。
 身分を証明するものをバッグに探すと、森園聖子という女性の運転免許証が入っていた。
 整形外科医のもとに慌てて戻るものの、クリニックのあった所は数年も前から空き室で、貴美子は途方に暮れる。
 仕方なく、免許証の住所を訪れると、そこは豪華なマンションであった。
 また、森園聖子は男にモテモテで、パトロンがたくさんおり、生活には困ることはない。
 貴美子は森園聖子として新生活を始め、毎夜、夜の街に繰り出す。
 顔に自信を持った彼女は恐いものなしで、傲慢に振る舞うようになる。
 望みが全て叶った彼女を、ある夜、街頭の占い師の老人に呼び止める。
 老人は彼女を「凶顔」だと指摘するのだが…。
「ここにいるよ」(「AmiJour」1993年2月号掲載)
 坂崎聖子は、横浜のk商事に書類を届けに行って、交通事故にあう。
 近くの病院に数日、入院することとなるが、その病院には中学の時、盲腸で入院したことがあった。
 入院後、しばらくして、彼女は昔、姫野敬一という少年(小学三年生)と友達になったことを思い出す。
 彼は、母子家庭のため、いつも一人ぼっちで、彼女にとてもなついていた。
 彼女が退院する時、彼女は彼に会いに行くと約束しながら、引っ越し等重なり、結局、約束を守れなかった。
 彼のことが気になり、聖子が婦長に彼のことを調べてもらうと、彼は彼女の退院後、間もなく心臓発作で亡くなっていた。
 聖子の前には、姫野敬一らしき霊が現れるが、その理由とは…?
「メッセージをどうぞ」(「AmiJour」1993年3月号掲載)
 山中佳孝(29歳/商社勤務)とその妻、美都子(26歳)。子供はなし。
 何の変哲もない幸せな夫婦であったが、ある夜の留守番電話に奇妙なメッセージが入っていた。
 それは女の声で一言「呪ってやる」と言って、切れる。
 その時はいたずら電話で済ますが、このメッセージは夫婦のそれぞれに暗い陰を落とす。
 美都子は、そのメッセージが香からではないかと疑っていた。
 香は美都子の会社の同僚で、佳孝に惚れており、美都子に彼を飲み会に誘うよう頼んでいた。
 しかし、美都子が彼に声をかけた時、彼から告白され、結局、香を裏切ることとなる。
 美都子は、会社を辞めた香と会おうとするが…。
 一方の佳孝は、メッセージの声が夕子ではないかと考える。
 夕子は別れた恋人で、彼が結婚する前に、よりを戻すよう訴えてきた。
 彼女のお腹には彼の子供がいると主張するが、彼は堕ろすよう彼女を突き放す。
 彼は夕子の居所を調べて、会いに行くのだが…。

・「共犯者」(「ミステリーJour」1991年11月19日号掲載)
「k・k製薬株式会社。
 小宮可奈子には大学時代から憧れている原田宏行という男性がいた。
 彼は研究員として研究所に勤めており、本社勤めの彼女はなかなか会うことができない。
 ある日、彼女は薬品サンプルを届けに研究所に行くが、何故か閉鎖され、中には入れてもらえない。
 その夜、原田宏行が同僚の沢木拓美に刺殺されたことを知らされる。
 沢田拓美が宏行の妻に横恋慕したことが原因らしく、拓美は逃走中であった。
 宏行の葬式から帰宅すると、彼女の部屋に沢田拓美が押し入って来る。
 彼は彼女に正当防衛だったと話す。
 彼によると、宏行が突如、凶暴化し、彼に襲いかかってきたので、刺してしまったという。
 だが、職員は彼が故意に殺したと証言し、宏行の妻も彼が横恋慕している噂を認めていた。
 ただ、宏行が死ぬ間際、彼女の名前を言い残していた。
 彼は彼女に何かを託しており、それは彼の無実を証明するものらしい。
 そして、可奈子と拓美は否応なく陰謀の渦に巻き込まれていく。
 原田が関わっていたプロジェクトとは…?」

 粒よりの作品を収めた単行本です。
 どれも出来は良いですが、個人的には、「とりかえっこ」「メッセージをどうぞ」にストーリー・テリングの上手さを感じます。
 あと、「共犯者」は、はざまもり先生には珍しい「細菌パニック」ものです。
 ラスト付近、キ※※イ達が暴れている描写なんか、はざまもり先生の漫画でお目にできるなんて思いも寄りませんでした。(でも、やっぱり、控えめかな…。)

2022年5月19日 ページ作成・執筆

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