亜月亮「深・都市伝説B」(2016年5月16日第1刷発行)
・「吸血鬼」(「JOURすてきな主婦たち」2015年4月号掲載)
「マヤはコンビニのバイトさん。
彼女はバンドやお笑い芸人の追っかけをやっており、いつもパワフルであったが、実際は38歳の「アラフォー女子」であった。
自分では若いつもりでも、お肌は正直で、焦った彼女は若返りを売りにしているエステに行ってみる。
ここは普通のエステとは違い、若返るために「若い血液」を輸血していた。
とりあえず、マヤは体験コースとして「Sランク(10代の女の子の血)」を格安で輸血してもらう。
翌日、早速効果が現れ、お肌だけでなく体も軽い。
彼女は深夜バイトに入ったことで、バンドをやっているタカヒロと付き合い始める。
しかし、一週間後、若返り効果が切れると、彼女は現実に直面させられる。
若返りを維持するため、彼女はエステの会員となり、Sランクの血を定期的に輸血する。
ところが、輸血して数日間は調子がいいのに、効果が切れると、途端に体が重く、気分も不安定になる。
更に、そのサイクルがどんどん早まってきているようで…」
・「教育ママ」(「JOURすてきな主婦たち」2015年9月号掲載)
「支倉里伽子は教育ママ。
彼女はエリートで人生勝ち組の姉に劣等感を抱いており、息子の優希をエリート・コースに乗せたいと切望していた。
しかし、小学生の優希は遊びたい盛りで、里伽子の思い通りにはならず、何かにつけ対立。
口うるさく言う里伽子に対し、夫の一希も優希の肩を持つようになり、里伽子は悩む。
そんな時、彼女はネットで「ゲーム感覚で勉強できる学習ソフト『BRAIN SHOOTER』」を発見する。
彼女はそれをダウンロード購入し、優希にプレイさせてみると、彼は夢中になる。
成績もぐんぐん上昇し、里伽子は喜ぶが、優希はすっかりその虜となっており…」
・「ママ友地獄」(「JOURすてきな主婦たち」2015年12月号掲載)
「吉田という一家(夫はF出版社、妻は専業主婦、小学校五年生の娘、真由)がある一軒家に引っ越してくる。
ご近所には亜川、馬場、千葉という同じ学年の子を持つ母親がおり、吉田の母子を快く受け入れてくれる。
吉田ママは良いママ友ができたと喜ぶが、議員を父に持ち、PTA本部の会長である亜川が早速、ボスママの本性を発揮し、彼女に圧力をかけ始める。
更に、子分の馬場・千葉も吉田ママにねちねちを嫌がらせをする。
ところが、亜川・馬場・千葉は次々と事故やトラブルが巻き込まれていく。
彼女たちは何か心当たりがあるようなのだが、二年前の出来事とは…?」
・「臓器移植」(「JOURすてきな主婦たち」2016年1月号掲載)
「西島花穂は高校に入学した頃から心臓の先天性の欠陥が悪化し、一時危ない時があったものの、心臓移植により二年後、復学することができる。
ある日、彼女が病院に診察に行くと、待合室で影山浩希という研修医に声をかけられる。
彼を一目見た瞬間、彼女の心臓は激しく動悸を打ち、花穂は戸惑いながらその場を去る。
これをきっかけに、花穂は臓器移植に関する都市伝説に興味を持ち、自分にドナーの影響が現れているのではないかと気にかかるようになる。
また、最近、女性の頭部を滅多打ちにした後、救急車を呼ぶという通り魔による事件が連続していた。
犠牲者は皆、病院で死亡か脳死状態になっており、更に、花穂は血液型とHLA(ヒト白血球抗原)の型が一緒であった。
花穂は自分のドナーもまた通り魔の犠牲者ではないかと考えるのだが…」
亜月亮先生ですので、安心して読める、良質な単行本です。
どの作品も良い出来ですが、どろどろしまくりの「ママ友地獄」が個人的なベストでしょうか。
やっぱ、人間、図太くないといけませんね。(程度もんですが…。)
2025年6月13日 ページ作成・執筆