北岡朋
「ウォーキングキャット@」(2019年2月28日第1刷発行)
「ウォーキングキャットA」(2019年7月25日第1刷発行)
「ウォーキングキャットB」(2020年3月28日第1刷発行)
単行本@(「漫画アクション」2018年6/19号〜8/7号、9/4号、9/18号、10/16号〜12/4号)
・「第1話 何やってんだ俺は」
世界は生ける屍で溢れ、崩壊した。
八尋ジンははぐれた妻(サトコ)を捜し、終末世界をさまよう。
ある日、木陰に身を隠していた彼は白猫(雄)を目にする。
白猫はネズミを追って、ゾンビたちの方に行ってしまい…。
・「第2話 会えてよかったな」
助けた白猫に案内され、ジンはある家を訪ねる。
そこには禿頭の老人と意識不明状態の妻が住んでいた。
老人はジンに銃を向け、家から出ていくように言うが、白猫に気付くと「ユキ」と呼ぶ。
老夫婦とユキの関係は…?
・「第3話 相棒なんだ」
ジンはユキと共に旅を続けることとなる。
ある時、はぐれたユキを捜していると、ユキは小中学生ぐらいの姉弟に捕まっていた。
ジンは返してくれるよう頼むも、姉弟はユキを抱いたままその場から走り去る。
ジンは彼らの敷地に潜入するが、その時、倉庫らしき場所では…。
・「第4話 何で気付かないんだよ」
ジンは生存者が助け合って暮らしている「島」の噂を聞く。
だが、それがどこにあるかわからず、悩むジンにユキはちょっかいを出しまくり。
とりあえず、ジンは町のスーパーマーケットに行き、食料を探すのだが…。
・「第5話 ケンカするなよ」
町を探索していると、ジンは一匹の犬(雌)を見つける。
犬は実に行儀よく、ジン、ユキ、犬は喫茶店の中で一休みする。
しかし、ゾンビを見かけた犬が吠えたことで、喫茶店にゾンビが集まってしまい…。
・1ページ漫画「ゲロ」「ウンコ」
・「第6話 応援してるぜ」
ユキは今、白黒のはちわれ猫に恋をしていた。
ジンは陰ながらユキを見守り、邪魔しそうなゾンビは皆、片付ける。
はちわれ猫からは相手にされてなさそうだが、ユキの恋の行方は…?
・「第7話 あの時死んでいれば」
四人の少女たちが川辺で魚をとって、料理していた。
そこにユキが現れて、ちゃっかり、少女たちを虜にする。
少女たちのうち、一人は事故で顔半分にひどい火傷を負っていた。
彼女が離れたところで縫物をしていると、ユキが彼女にまとわりつき…。
・「第8話 …猫はお嫌いで?」
ジンは生物学研究所で一人の研究職員と出会う。
彼はゾンビについて研究・対抗策・立案を命じられたことがあり、ゾンビについてジンに語る。
また、彼はユキをゾンビと同じ「ケダモノ」扱いして嫌っていた。
そんな話をしていると、研究所にゾンビの群れが押し寄せる。
唯一の出入り口はゾンビに塞がれ、ピンチに陥るが…。
・「第9話 サトコ」
研究職員は八尋サトコを知っていた。
彼女は「一度、家に帰ってみる」と言っていたらしい。
ジンは研究職員から譲ってもらった車で二人が住んでいたアパートに向かう。
ジンが彼女を捜していると…。
・1ページ漫画「なぐさめて」「逆はない」
・「第10話 どっからきたの?」
ジンは遂に「島」の手掛かりを手に入れる。
地図を頼りに道を進むと、途中で車がガス欠になってしまう。
仕方なく道を歩くと、町があり、ジンは動きそうな車を探す。
一方、ユキが気ままに町をうろついていると…。
・「第11話 前に進むしかねぇか」
島に最も近い港。
しかし、そこには人が集まるせいかゾンビの数が非常に多い。
一人で進むのは困難で、退散しようとした時、ゾンビに気付かれ、追い詰められてしまう。
こうなったら、桟橋の先にあるボートまでゾンビを突っ切るしかない…。
・「第12話 おつかれ」
ジンはユキをバッグの中から出し、「おつかれ」と声をかける。
星空の下、ボートは島へと向かっていた。
ボートが島に到着すると、ジンは…。
・「おまけ漫画 先生と…」
「第8話」に出てくる研究職員はゾンビに追われ続けて、疲弊していた。
ある時、彼は車のそばでうたた寝をしてしまう。
ふと目覚めると、ふとっちょなどら猫が彼のメガネをくわえていた。
彼がその猫を追うと…。
単行本A(「漫画アクション」2018年12/18号、2019年1/8号〜6/4号)p
・「第13話 このこの名前」
カオルは島のコロニーに住む少女。
彼女は白猫を見つけ、コロニーの住人に聞いてみるも、誰も猫については知らない。
ただ、アンディとリーナの兄妹(第3話参照)はこの猫に見覚えがあるようで…。
・「第14話 もう二度と」
カオルはユキを飼うことにする。
ユキは誰かを捜しているようで、島をあちこちうろついていた。
一方のカオルは、自分と父親を捨て、他の男と逃げた母親と島で再会してしたことで苦しんでいたが…。
・「第15話 まだまだだな」
カオルの師匠は元・ボクサーで、物資調達隊の隊長であった。
カオルは調達隊に入るため、師匠から稽古を受ける。
師匠は猫が嫌いなようなのだが…。
・1ページ漫画「わーい!ボールだァ!!」
・「第16話 男なんか」
カオルの母親に対する複雑な思い。
それを島の中で理解してくれたのはビリーという青年だけであった。
ビリーは大学の農学部に通っていたことがあり、進路のことで両親と揉めていたという。
カオルは彼に惹かれていき、更に、ユキが二人の仲を取り持つこととなる…。
・「第17話 甘いんだよな」
コロニー内で細菌感染による熱病が広がる。
抗生物質が物資調達隊が戻るまでもつかどうかはわからず、リーダーのギルバートは抗生物質を与える相手を選らばなければならない。
彼が悩んでいると、カオルから預けられたユキが…。
・1ページ漫画「これこれ」
・「第18話 信じない」
島から物資調達隊がボートで出発する。
その中には八尋サトコがおり、彼女は夫を捜し続けていた。
帰り道、一行は漂流しているボートを見つけるのだが…。
・「第19話 わかればいいんだ」
カオルが釣りから帰る途中、森の中から怒声が聞こえる。
木陰から覗くと、母親の情夫が母親に他の男に色目を使ったと怒鳴っていた。
それは痴話げんかにとどまらず、情夫は母親に暴力を振るい、ボコボコにする。
カオルが止めようとした時…。
・「第20話 証明してやる」
カオルは母親のもとに行き、情夫が母親を殴っているところを見たと話す。
彼女は母親にあんなクズ男とは別れるよう諭すが、「だめんず・ウォーカー」な母親には通じない。
そして、カオルはある決意を固める…。
・1ページ漫画「手伝う」
・「第21話 早く逃げて」
カオルは島民の面前で母親の情夫に彼が母親を殴っていたと明かす。
島では暴力は罰則か、ヘタすると追放であった。
島民に疑惑を植え付けることには成功したものの、カオルが一人の時に情夫が彼女を襲う。
ビリーが止めに入った隙に、カオルは情夫の股間を蹴り上げ、カオルとビリーは森の中に逃げ込む。
二人が木陰に身を潜めていると…。
・「第22話 避難者」
島に避難者がボートでやって来る。
避難者は母と幼い娘、そして、少年少女(フウタとリサ)の四人。
ただ、コロニーは母親の情夫の追放が決まり、取り込んでいる最中であった。
リーダーのギルバートは避難者の一時受け入れを決めるのだが…。
・「第23話 このままじゃ」
夜、島民たちは森の中に逃げ込んだ情夫を捜す。
カオルの母親もまた、情夫を捜し、森の中にいた。
一方、避難者がいつになってもコロニーに来ず、ギルバートは迎えを出す。
だが、その頃にはもう…。
・「第24話 ありがとね」
コロニーに押し寄せるゾンビの群れ。
カオルはどうにか生き延びるも、それは想いを寄せる相手の犠牲によるものであった。
生存者は一か所に集まり、浜辺へと向かう。
だが、カオルはユキをアンディとリーナに預け…。
単行本B(「漫画アクション」2019年6/18号〜2020年2/18号)
・「第25話 選んで」
カオルは手斧を片手に森の中で母親を捜す。
ようやく見つけたものの、情夫に見捨てられ、カオルと母親はゾンビに囲まれる。
その時…。
・「第26話 見逃して」
カオルと母親は浜辺へと急ぐ。
一息ついていると、ユキがふらりとどこかに行こうとする。
後をつけると、避難者の少年が女性に殺されそうになっていた。
ユキは二人の横を通り過ぎ、木に両手を縛り付けている少女の方に向かう。
その少女は…。
・「第27話 助けなきゃ」
避難者の少年(フウタ)はカオルと母親に少女(リサ)の姿を見なかったか尋ねる。
もしかすると、浜辺に避難しているかもしれず、カオルは一緒に来るよう言うが、その時、火に包まれた木が彼女たちの方に倒れてくる。
その衝撃でカオルはユキから手を放してしまい、ユキは崖下に転落。
彼女はユキを助けようとするのだが…。
・「第28話 どうして…」
浜辺ではリーダーのギルバートがカオルたちの帰還を待っていた。
だが、彼らにゾンビが襲いかかり、一人また一人と倒れていく。
ギルバートの片腕のコーディは先にボートで脱出しようとするが…。
カオルたちは間に合うのであろうか…?
・「第29話 一緒に生きていこうね」
島は火に包まれ、コロニーの生き残った人々はボートで脱出する。
だが、島にはフウタとユキが取り残されていた。
フウタはリサと再会するも、その再会は残酷なものであった。
浜辺にはボートは残っておらず、彼は生きることを諦めかけるが…。
・「第30話 諦めてたまるか」
フウタの心に宿った生きる思い。
それはユキをカオルのもとに返すという決意によって支えられていた。
彼は鉈を手に入れ、島でサバイバル生活を送る。
ある日、島にボートがやって来るのだが…。
・「第31話 一体誰だ?」
左腕を失いながらも、フウタは島から脱出する。
港で彼は力尽きるが、気が付くと、どこかの室内にいた。
彼の左腕には包帯が巻かれ、そばにはユキが…。
・「第32話 助けがほしい」
フウタを助けたのはジー、イェン、ケイレブという三人の少年少女。
彼らは西にある森の中の小さい集落を目指しており、いずれ少年少女たちだけのコミューンを作ることを目指していた。
彼らはフウタを仲間に加えるが、紅一点のジーはユキの同行に反対する。
猫は役に立たないと彼女は言うが…。
・「第33話 仲間の仲間は」
四人の少年少女は西に向かう。
イェンとケイレブはユキを仲間とみなすが、ジーだけは邪険にする。
その割りにユキは彼女にかまってもらいたいみたいで…。
・「第34話 最初に言ったはずだ」
四人が道を進むと、道端にケガをした男性がおり、彼らに助けを求める。
ジー・イェン・ケイレブの三人は無視するが、ゾンビに噛まれたようではなく、フウタは男性に駆け寄る。
しかし、それは罠で…。
・「第35話 俺だけの場所」
四人は目的地にたどり着く。
だが、そこには先住者がいた。
それは左足が義足のヒゲの男性で、最初は断られるものの、三日だけ滞在を許してもらう。
彼は「義足の殺人鬼」と言われる凶悪犯らしいのだが…。
・「第36話 嘘だろ」
イェンたちは義足の男性の寝込みを襲って殺す計画を立てる。
その話し合いの最中、フウタはユキを捜しに外に出る。
ユキは義足の男性の前にいた。
そして、ユキと一緒にいる黒猫は…。
・「第37話 証明しろ」
決行は今夜。
フウタは義足の男性が悪人とは思えず、殺さないようイェンたちを説得しようとする。
だが、イェンたちはフウタに男性を殺し、自分たちの仲間であることを証明するよう求め…。
・「第38話 恩人」
イェンたちの仲間になるかどうか、フウタは決断を迫られる。
その時、部屋の隅から猫の鳴き声が…。
・「第39話 好きだから」
イェンたちとは決別し、フウタは義足の男性のもとから去ろうとする。
彼の願いはユキをこのまま、この集落に置かせてほしいというものであった。
フウタに義足の男性はある提案をするが…。
そして、九か月後…。
・「最終話 ユキ」
終末世界のあちこちで生き残った人々は懸命に生きる。
そして、ユキは…?
また、新たな旅が始まる…。
「猫漫画 meets ゾンビ漫画」という変わり種です。
ユキという白猫を狂言回しに据えて、妻を捜す男、強くなりたい少女、片腕の少年と主人公が次々と変わり、それぞれの人間ドラマが展開されます。
当初はお気楽なノリもありましたが、A巻以降は徐々にシリアスさが増し、「ゾンビ漫画」としてもかなりの読みごたえが出てきます。
ただ、全三巻なので、ちょっと物足りない気がするのと、タイトルと表紙のせいか(誰もゾンビ漫画だなんて思わない…)、知名度が低いのが残念に思います。
渋めの良作だと思いますので、ゾンビ、もしくは、猫が好きな人は読まれてみては如何でしょうか?(両方好きな人は必読です!!)
2025年6月4〜6日 ページ作成・執筆