曽祢まさこ「人魚のいない海」(1995年4月1日第1刷発行)

 収録作品

・「人魚のいない海」(「LCミステリー '94年10月号」掲載)
「半年前、子供を助けるために、冬の海にとび込んだまま、行方不明になった西野和基。
 幼馴染で、恋人であった和基を忘れることができないえい子は、海の中に和基を見たような気がして、海辺の岩場に駆けつける。
 そこで、足を滑らせ、頭を岩で強打、海に流されてしまう。
 死を目前にしたえい子を助けたのは、和基であった。
 えい子は近くの浜辺に打ち上げられ、頭の傷も幸いにも軽傷、病院を一日で退院する。
 退院する際、病院のロビーで、見知らぬ女性から「カズキが死んだらあんたのせいよ」と声をかけられる。
 記憶のひだを探ると、その女性を和基の近くで何度か見かけていたことに、えい子は気付く。
 このことがあってから、若い人達が通り魔に襲われて、血を吸われる事件が頻発するようになる…」

・「リュシェンヌ」(「LCミステリー '95年2月号」掲載)
「子だくさんの貧乏学者の末娘、イベット(13歳)に、地方の名家の令嬢の遊び相手にならないかという話が舞い込む。
 ランベルジュの館を訪れたイベットの目の前に現れたのは、人形のような少女、リュシェンヌ(10歳)。
 二人はすぐに打ち解け、大の仲良しになる。
 が、リュシェンヌの家庭事情は複雑であった。
 五年前、父親が死亡後、リュシェンヌの母親は愛人をつくり、二度とリュシェンヌのもとを訪れることがなかった。
 そして、館を取り仕切る祖母は、ことあるごとにリュシェンヌの母親の悪口ばかり。
 イベットは、リュシェンヌの孤独を慰めるために、自分の創作した童話や詩を書いたノートを見せ、リュシェンヌは大喜び。
 一年後、姉の結婚のために、イベットは一時家に帰るが、その間に大事件が起こっていた…」

・「夢見る教室」(「霊感少女 '94年No4」掲載)
「ある時から『意識』を持つようになった教室。
 彼は、自分の中で蠢く「虫」が大嫌いだった。
 数年後、心根のまっすぐな「虫」に彼は気付く…」

・「悪魔の人形」(「ホラーパーティ '88年Vol.1」掲載)
「生まれつき病弱で、高校も入学早々ろくに通えてない、さおり。
 彼女は、人形をつくる才能があり、多くの子供たちに人形を与えては、喜ばれていた。
 しかし、さおりの妹は、全くの健康優良児で、さおりは妹に嫉妬していた。
 ある日、可愛い人形を作るつもりで、できあがったのは、不気味な悪魔の人形だった。
 さおりの手によって魂を吹き込まれた悪魔の人形は、お礼に三つの願いを叶えようと言う…」

平成27年9月17日 ページ作成・執筆

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