曽祢まさこ「凶星のふたり」(1994年12月1日第1刷発行)

 収録作品

・「凶星のふたり」(「LCミステリー'93年10月号」掲載)
「白井まどかと田島美也子は、幼少の頃から、お互いに憎し合っていた。
 その憎悪は、嫌いといった半端なものでなく、止める者がいなければ殺し合いに発展するレベルであった。
 小学校一年の頃に、田島美也子が父親の仕事の都合で転校してからは、まどかは楽しい学校生活を送る。
 しかし、高校の入学した際、まどかは美也子と再会してしまう。
 それどころか、まどかの男友達の拓也が、美也子に興味を持ち始めた。
 追いつめられたまどかはあることを思い出す…」

・「もう一人のわたし」(「LCミステリー'94年2月号」掲載)
「世の中には自分と同じ顔を持つ人が3人いると言う。
 菜摘は小学校の頃、自分とそっくりな女の子を見かけてから、もう一人の自分がいると信じる。
 実際に、高校生になるまで、幾度も自分とそっくりな少女を目にする。
 その度に話しかけようとするのだが、その少女をすぐに見失ってしまう。
 菜摘はもう一人の自分への興味を募らせていくが…」

・「イブが見ている」(「LCミステリー'94年8月号別冊ホラー&サスペンスEX」掲載)
「フランスのある家族。
 父母と四人姉妹、アリサ、ダニエラ、アネット、イブ。
 末の妹、イブは生まれつき病弱で、ほとんど外へ出られず、二階の窓から姉達の姿を眺めていた。
 母親はイブのことにかかりっきりで、子供だった姉達はえこひいきをされているように感じ、イブに対して冷たかった。
 12歳にならず、イブは他界。
 一年後、アリサが婚約することになるが、結婚式の前夜、アネットは廊下を裸足で歩く子供の足音を耳にしたような気がする。
 翌日、ウェディングドレスがビリビリに引き裂かれていた。
 アリサはイブの仕業だと主張するが、果たしてそうなのだろうか…?」
 夏の陽射しの中に現れる幽霊が、斬新だと思いました。
 なかなか想像力をかき立てる設定です。
 これで思い出したのが、ローズマリー・ティンバリーの名作「ハリー」。
 この短編では、真夏の強烈な日差しの下、影のように現れる幽霊を書かれております。
 半世紀以上前の作品ですので、ぱっと読むと大したことないようですが、よくよく読むと、薄気味の悪い話です。

・「死者の夜」(「LCミステリー'94年8月号別冊ホラー&サスペンスEX」掲載)
「スイス。谷間にある小さな村の外れにある、私立の女学校。
 そこは、12歳から16歳までの少女を30人程度、預かる全寮制の小さな学校であった。
 生徒達の間には、ある慣わしがあった。
 この地方には、満月の夜の0時から1時は死者の時間で、死人が歩き回ると伝えられていた。
 その死者の夜に、新入生の中から二人、墓地裏の丘でそれが事実かどうか確かめに行くのだった。
 今年は、その役目に、転入生のリーゼルと、新入生のミーナが選ばれる。
 お転婆のリーゼルは、怖がりのミーナを励ましながら、丘で0時から一時間過ごす…」
「おまけのページ」によると、昔からB級ホラーが大好きな曽祢まさこ先生が、ホラーしようと描いた怪奇マンガだそうです。
 まあ、恐怖の基準は人それぞれなので、それは置いておいて、なかなかいい作品だと思います。

平成27年9月27・28日 ページ作成・執筆

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