森由岐子「闇の中のエンゼル」(1985年9月16日発行/黄61)
「孤児院出身の五代翔は、畑プロダクションの、押しも押されもせぬ、ドル箱スター。
しかし、ある夜の帰宅途中、彼は、一村ちあきという娘を車ではねてしまう。
命に別状はなかったものの、顔には醜い傷痕が残り、翔は罪悪感に苛まれる。
畑プロダクションの女社長はスキャンダルを恐れ、ちあきを自分の別荘にかくまう。
翔はできる限り、別荘を訪れて、誠意を見せるものの、彼女は納得せず、結婚するよう翔に迫る。
翔がちあきを押しのけたはずみに、彼女は頭を打ち、死亡。
ちあきの身寄りがないのを幸いと、女社長は、翔に口止めをして、彼女の死体を埋めに行く。
女社長に弱みを握られた翔は、彼女に過酷なスケジュールを押し付けられ、疲労困憊。
心身ともに弱り切っている時、彼は石田さゆりと再会する。
彼女は、孤児院時代、彼が冷たくするのにも関わらず、尽くしてくれた少女であった。
翔はさゆりと一緒にいると、イヤなこと全てを忘れ、「母親の胎内にいるようなやすらぎ」を覚える。
ある夜、翔は、ちあきの亡霊を目にして以来、彼は毎夜、さゆりのアパートで過ごすようになる。(でも、アダルトなことは何もせず。)
さゆりに救われた彼は、彼女をイメージして、「闇の中のエンゼル」を作詞作曲、空前の大ヒットとなる。
その陰で、彼のライバル、呉悠路は翔を蹴落とすべく、画策をしていた。
また、さゆりの身にも異変が…」
森由岐子先生のアイドル観がなかなかに眩しい一冊です。
見るからに「この軟弱者!!」な外見ですが、それを裏切らないヘタレっぷり。
でも、ラストは、自らの愛を貫いており、他の森由岐子作品の男性キャラとは違って、漢気のあるところを見せてくれます。
にしても、作中に出てくる「闇の中のエンゼル」の歌詞は、ぶっちゃけ、ベタ過ぎだと思います…。(森先生、ごめんなさい!!)
2019年2月2日 ページ作成・執筆