K・ギマン「夜の学校に幽霊赤ちゃんが!」(1988年7月16日発行/黄240)

「保谷駅から北へ徒歩20分の所にある東西中学校。
 転校生の早瀬由美は、ドアを板で釘付けにした、謎の一室が校内にあることを不審に思う。
 クラス委員長の木内ゆかりや、社会科の教師、倉田淳、他のクラスメート達に尋ねても、皆、決して理由を教えてはくれない。
 そんな時、顔を包帯で覆った女性が、その部屋は美術室だったと教えてくれる。
 彼女の顔は醜く腫れあがっており、病院へと連れ戻されるが、彼女は二年前の倉田先生の教え子であった。
 その夜、由美は、元・美術室の中を確かめるため、夜の学校に侵入する。
 そこで目にしたのは、宿直室で抱き合っている、倉田先生とゆかりであった。
 その合間に、由美は、元・美術室の板を剥がそうと試みる。
 すると、足元に、得体の知れない赤ん坊が現れ、不思議に思っていると、ドアは内側から開かれ、由美ははねとばされる。
 気が付くと、赤ん坊の姿は消えており、由美が部屋の中を調べるが、中には何もない。
 だが、以来、倉田先生は日々、憔悴していき、木内ゆかりも欠席が続く。
 ある日、由美が帰宅すると、部屋に、夜の学校で見かけた赤ちゃんがいた。
 その後をつけると、木内ゆかりの家にたどり着く。
 その場に、良庵と名乗る坊主も現れ、「この家には悪霊が漂っておるぞ!!」と断言。
 霊気の発生源は、ゆかりの部屋からであった。
 ゆかりや倉田先生の身に何が起こっているのであろうか…?
 そして、元・美術室に封印されていたものとは…?」

 ひばり書房に二冊だけ単行本を残した、謎の漫画家、K・ギマン。(注1)
 個人的な印象は、日野日出志先生と川島のりかず先生の影響が「7:3」といったところで、ただでさえドス黒い背景に、顔に縦線(何て言うんでしょうか、アレ)をつけた登場人物が慄きまくるという、不穏さ溢れる一品となっております。
 また、タイトルになっている割に、大して登場しない赤ちゃんは、森由岐子先生「幽霊学校の赤ちゃん」からの影響と思われます。
 と書くと、無名作家が有名作家の作品を模倣した作品のように思えるかもしれませんが、この作品には特筆すべき要素があります。
 それは「性描写」。
 恐らく、ヒバリ・ヒット・コミックスにて最も「性描写」のキツい作品です。(注2)
 しかも、中学生の教え子とヤリまくるという「わいせつ教師」という設定があり、現在では決して許されないであろう不謹慎さです。
 絵柄といい、内容といい、ここまで「生臭い」作品って、稀少なのではないでしょうか?

 この作品は、キクタヒロシさんの「昭和の怖い漫画」で取り上げられております。
 私の駄文より、遥かに実のある文章ですので、興味を持たれた方にはご一読をお勧めいたします。

・注1
 もう一冊は、「ロリコンちゃんの性教室」(すかいらーく社/ロマンスCOMICS)。
 未入手のため、内容については、エロマンガということ以外、不明です。

・注2
 次点は、川島のりかず先生「殺しても生きてる女」
 両作品とも、中学生とヤッているところも共通点?

2020年12月30日 ページ作成・執筆

ヒバリ・ヒット・コミックス・リストに戻る

メインページに戻る