さがみゆき「血まみれカラスの呪い」(1982年1月16日発行/黄154)



「転校生の由利桜子は美しいが、奇妙な少女であった。
 桜子は、隣の席の小野けい子に異常な程の関心を寄せる。
 桜子は死体を写した写真をけい子に見せ、この秘密を共用することで、二人は妙に接近する。
 下校途中、桜子はけい子に「わたしひとりだけの友人」になるように言い、誓いの儀式と称して、けい子の左腕に噛みつく。
 そして、けい子に桜子の同じ部分を噛むように促し、これで永遠の友情が約束されたと、桜子は語る。
 この時以来、桜子とけい子は二人だけで過ごすようになる。
 だが、桜子はその美しい外見とは裏腹に、内なる猟奇性を露わにしていく。
 けい子は桜子に反発と嫌悪を覚えながらも、桜子の猟奇性に否応なく惹かれていくのだった…」

 ひばり書房から貸本として出版された「奇女を銀の皿へ」を大幅に加筆したものです。
 さがみゆき先生の作品の中で最も有名なものの一つでしょう。
 特に「かつらズボーン」のシーンは唐沢俊一氏によって、いろんなところで紹介されております。
 カ○ワのママさんが優等生の少女に恐怖の悪戯を仕掛け、高笑いをするシーンはまさしくハイライトでありますが、他にも見どころはいっぱいです。
 動物虐待描写(でかい蟻…)、飛び降り自殺、カラスに襲撃される描写等、今現在から見ても、ステキなほどにバッド・テイストであります。
 しかし、この作品の肝は、リリカルに構えているかと思ったら、突如、残虐性をむき出しにする由利桜子のキャラにありましょう。
「女同士の永遠の友情」という少女マンガの中にしか存在しなさそうなテーマに、由利桜子という恐ろしくエキセントリックなキャラが捩じ込まれ、他に類を見ない異色のサイコ・スリラーとなっております。
 これはまさしく、薄っぺらな「女同士の友情」を大仰に描く、凡百の少女マンガに対して、さがみゆき先生が突き付けた「アンチ・テーゼ」なのでありましょう。(テキト〜言ってます。)
 とにもかくにも、友情を確立するために噛みつき合っているマンガは、私の知る限り、このマンガしかありません。

 あと、「奇女を銀の皿へ」との差異は以下の通り。
 貸本のpp5〜7(カラーページ削除。pp5・6・11・19・23・49〜54(カラスの子虐殺シーン)・71〜87(桜子の家を訪問するシーン)・97〜99(入れ歯のシーン/貸本のp72は削除)・101(かつらズボーン)・107・111〜115・121〜123・151・153〜155・157〜159、162・163・165〜169・171〜189、新たに描かれた追加ページ。pp7〜10・170、貸本の描きなおし。p135、「バシ!」描き込み。p152、セリフ訂正。

2015年12月19日 ページ作成・執筆
2017年1月3日 加筆訂正

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