白川まり奈「血どくろマザーの怪」(1988年6月16日発行)
「海辺涼子は二十歳の小学校教師。
夏休みを利用して、涼子は、16人の生徒を連れて、夜泣き島という無人島を訪れる。
最近、縄文時代の遺跡が発掘され、当時の部落が復元されており、生徒達はそこで縄文時代の生活を体験することになっていた。
しかし、この島は漁師達の間では、うぶ女島とも呼ばれており、このうぶ女遺跡には食人をした痕跡があった。
そんなことはつゆ知らず、生徒達は豊かな自然を満喫していた。
ある日、行方不明になった女の子を捜している時、涼子達は鍾乳洞を発見する。
奥に進むと、地面に16個の仮面…更に奥に、母親と赤ん坊のミイラがあった。
そのミイラを見た途端、涼子は昏倒。
このミイラは、涼子が少女だった時に、顔の皮を剥がれそうと襲ってきた女性にそっくりだったのだ。
涼子は意識を回復しないまま、行方不明になる。
それにもくじけず、生徒達は思い思いに過ごすが、仮面をつけた生徒達の言動が徐々に凶暴になっていく…」
(1987年2月13日(金)脱稿)
不思議なマンガです。
正直な感想を言いますと、支離滅裂、荒唐無稽なマンガなのであります。
絵も、本格的なページもありますが、ほとんどが「フヌケ〜」でありまして、谷間夢路先生の絵になっているところ(pp128〜131)(注1)もあります。
最初に読んだ時には、つまらない、と思いました。
その後、幾度か読み返してみましたが、最初の感想と似たり寄ったりなのでありました。
ですが、数日前、何気なく読み返したら、あれれれれ、面白かったです。
最大の原因は、最近、ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」を20年ぶりに読み返したためでしょう。
「孤島」と「子供達」の要素があれば、もちろん、ああなります。
また、ストーリーとは無関係にギーガーのエイリアンちっくなモンスターも出てきますし、うぶ女に関するくどくどした講釈も飛び出します。
様々な要素を大判振る舞いとばかりにぶち込んでいますが、それらが全て未消化のままで、ストーリーの中でちっとも活かされていないのです。
とは言うものの、新鮮なアイデアが生の形で散りばめられていて、それはそれで味わい深いです。
ここでは、トータルな完成度ではなく、「脈絡のなさ」さを堪能すべきなのでしょう。
また、テキト〜な絵柄でありながら、女性キャラが意外と可愛いのがポイント高いです。
・注1
p129の人物が、往年の名プロレスラー、バロン・フォン・ラシクにそっくりなのですが、実はモデルだったとか…?
平成27年9月2・3日 ページ作成・執筆