森由岐子「夜叉になった泥眼夫人」(1986年8月16日発行/青134・1988年7月6日発行/青252)

「北条財閥の当主、北条宗近とみね子の一人娘、かおりが誘拐され、死体となって発見される。
 ようやく授かった一人娘を亡くした、みね子の悲嘆は尋常でなかった。
 程なく誘拐犯の男が逮捕されるが、彼は、みね子の親友、大野秋子の亭主であった。
 みね子は、大野秋子と同じ産院で同日、女児を出産し、それが縁で仲良くなったのである。
 大野秋子は息子の一記と娘の美香を残して、鉄道自殺を遂げ、幼い兄妹は施設に預けられる。
 復讐の鬼となった、みね子は美香を預かり、自分の娘として育てる。
 そして、同じく孤児院出身のお手伝い二人の、嫉妬を煽り、美香に嫌がらせをさせ、それを黙認。
 美香は、人殺しの娘という負い目から、いじめをひたすら耐え忍ぶ。
 時は流れ、中学校に入る頃には、美香は美しい娘に成長する。
 ある日、美香の前に、兄の一記が現れる。
 みね子は一記に会いに来ないよう厳しく言うが、二人は隠れて会い続ける。
 そのうちに、二人は兄妹を超えた想いを互いに抱くようになるが、思いもかけぬ悲劇が二人を待ち構えていた…」

 「泥眼(でいがん)」とは能面の一種で、「嫉妬に狂う女性」や「龍女」に用いるもののようです。
 ただし、この作品では、泥眼の能面を脅しに使っているだけで、深い意味はないように思います。
 ストーリー自体、「さやかと和香」or「呪いの夜の鬼」(立風書房)の焼き直しなので、印象は薄いです。
 相変わらず、男は大して役に立ちませんが、「犯罪者の子」というレッテルに苦しんでおり、さすがに気の毒でした。

2019年2月4日 ページ作成・執筆

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