さくら まいこ「呪い人形に皆殺された」(1988年6月6日発行/青250)
「浜田由香は、長女として甘やかされて育てられたため、わがままで自己中心な女の子。
妹の理絵が、素直で賢い分、両親も妹の方を可愛がり、ひがんだ由香はますます意地悪になる。
ある日、由香は、母方の実家にある土蔵の中から西洋人形を見つける。
だが、その人形を目にした祖母は顔色を変え、由香から人形を取り上げる。
祖母が言うには、その人形は何でも願いを叶えてくれるが、その代わりに大切なものを奪っていき、最終的には人を不幸にしてしまうとのこと。
それでも、あきらめきれない由香が土蔵へ人形に会いに行くと、人形から祖母の死を願うよう告げられる。
そして、由香の願った通りに、祖母は夜更けに人形に襲われて、溺死させられる。
結果、人形を手に入れた由香は、代償と引き換えに、頭をよくしてもらったり、劇の主役を得たりする。
時は流れ、由香が高校二年の頃、家庭教師の辻井徹に恋をする。
しかし、徹は、妹の理絵と相思相愛の仲であった。
由香は、徹の気持ちを自分に向けるべく、人形に祈るのだが、この願いが後々まで尾を引く悲劇を巻き起こす…」
怪奇マンガには「人形」を扱った作品はごまんとあります。
名作も多いのですが、箸にも棒にも掛からない作品もまた多く、この「呪い人形に皆殺された」は残念ながら、後者の部類に入るでありましょう。
でも、私はこのマンガ、好きです。
このマンガの醍醐味は何と言っても「呪い人形がわざわざ人間と同じ大きさになって、人を襲う描写」!!
人形が人を襲う描写は多々あれど、ここまでアグレッシブな呪い人形は珍しいのではないでしょうか?
ストーリーもこう見えて実はしっかりしており、いばら美喜先生あたりが劇画化したら、傑作になったかもしれません。
鶴岡法斎氏・編「呪われたマンガファン」(ジャパン・ミックス株式会社/1998年2月2日発行)にて復刻されております。
2017年3月7日 ページ作成・執筆