白川まり奈「母さん お化けを生まないで」(1988年4月16日発行)

「13歳の牧未来(まき・みき)は、興奮すると、血のような汗をかく特異体質に悩まされる。
 また、家では、妊娠中の母親がヒステリー気味になり、家の中はギスギスしている。
 未来は、自分の先祖について関心を抱くが、家族の者はいまいち釈然としない。
 一方、牧未来の家系に興味を抱いた、系図屋の壇園絵は、独自に牧家の調査を開始。
 牧家の先祖が凄腕の陰陽師だったことを突き止め、牧家のある秘密をかぎつける。
 どうやら牧家の屋敷にある蔵にその秘密を解く鍵があるらしいのだが…。
 未来がその秘密を知った時、自分の血にまつわる、世にも恐ろしい過去を知ることとなる…」

 唐沢俊一氏に幾度と紹介され、実は白川まり奈先生の作品の中で一番知名度が高いのではないか、と思われる作品。
 ヘンな笑えるマンガ…といった感じで紹介されていましたが、そんな安直な作品ではありません。
 恐ろしく奇妙なマンガです。
 話は「件(くだん)」を扱った本格的なものなのですが、その合間合間に脱力的なシーンが挟まれ、何を狙って描いていたのか、よくわかりません。
 流行のローラースケートを安易に取り入れていたりするのも、脱力さに拍車をかけております。
 加えまして、「フリーク(奇形人)の王国をつくりたい」アル中の医師や、「ももん様」といった、マッドなキャラクターが、マンガの奇妙さを際立たせます。
 ひばり書房でマンガを発表するために、やむなく当時の流行にマンガを合わせて、怪奇マンガ・マニアには評価の低い「ヒバリ・ヒット・コミックス」の三作ですが、やはり唯一無二の作風であります。
 ちなみに、ラストのコマを見て、メガドライブの大傑作アクション・ゲーム「魂斗羅ザ・ハードコア」を思い出しました。

・備考
 背表紙色褪せ。

平成27年9月3・4日 ページ作成・執筆

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