川島のりかず「フランケンシュタインの男」(1988年6月16日初版/青143)

「平凡な会社員、空木鉄雄は少女の幻を幾度となく見る。
 何故かその顔は陰に隠れ、はっきりしない。
 精神科医にかかり、その少女の正体を探ると、彼女は鉄雄の過去と深い係わりがあった。
 子供の頃、鉄雄は貧弱で、いじめられっ子だった。父親からは強い男になれと叱咤され、母親は産まれたばかりの弟に掛かりっきり。
 そんな時、鉄雄は高台の屋敷に住む君影綺理子という少女と知り合う。
 綺理子はある会社の社長の娘だったが、身体が弱く、甘やかされて育ったため、傲慢でわがままな少女であった。
 また、綺理子は数年前に母親に捨てられ、心に深い傷を負っていた。
 だが、鉄雄は綺理子に「強さ」を見出す。
 綺理子は、学校にも行かず、綺理子は絵ばかり描いていたが、その中の一枚を鉄男に見せる。
 それは、フランケンシュタインのモンスターの絵で、綺理子は、フランケンシュタインのモンスターは醜いけれど、「憎い相手を次々と殺していく」から、好きだと言う。
 数日かけて、鉄雄はフランケンシュタインのモンスターの仮面をつくり、綺理子はそれを使って「フランケンごっこ」をしようと提案。
「フランケンごっこ」とは、鉄雄がその仮面をかぶり、綺理子の命令に何でも従うというものだった。
 その「フランケンごっこ」の間は、鉄雄は自分が強くなり、何でもできるような感覚に浸る。
 しかし、一年後、綺理子はささいなことで事故死してしまう。
 そして、大人になった鉄雄が己を見失った時、再び綺理子が姿を現すのだった…」

 川島のりかず先生の最高傑作です!!
 描かれてから、三十年近く経ちますが、風雪に耐え、いまだに評価の高い作品です。
 ストーリーの完成度は非常に高く、戦慄のラストまで一気に突っ走ります。
 このマンガを語れば、こんな小欄ではとても収まらないでしょうが、煎じ詰めれば、「卑小な自分から逃れるために、仮面を得ることによって、全能感を得ようとする」物語でしょう。
 まあ…ごちゃごちゃ言うのはやめましょう。(評論家の真似をしたがる…私の悪い癖の一つです。)
 そんなノ〜ミソはありませんし、マンガを一読していただければ、それで済む話なのです。
 今やプレミア価格となってしまったマンガですが、川勝徳重さん、緑の五寸釘さん、虹影一完さん達の尽力により奇跡の復刻がなされました。
 全世界の怪奇マンガ・ファン、必読です!!

 
2004年8月16日 もととなる文章執筆
2015年1月14日 ページ作成・執筆
2022年12月31日 加筆訂正

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